un capodoglio d'avorio
2003年01月31日(金) |
野島伸司「高校教師('03)」第4話 |
第4話「哀しいデート」
そういえば、前作でもあれは二つの並行するストーリーが走ってたもんな。「真田広之ストーリー」と「赤井英和ストーリー」。今回も、そうである可能性はかなり高かったわけだ。「藤木直人ストーリー」と「京本政樹ストーリー」。
「京本政樹ストーリー」は主役の二人に先駆けて、どんどんぐいぐいテンションをあげてくのね。ホストの悠次にボコられる藤村センセイ(しかし良くボコられるな、京本政樹って。前作でも赤井英和にタコ殴りだったもんな)。路地裏に転がる藤村に対して、悠次が捨てセリフに、
悠:バーイ、センセイ。彼女が待ってるから。
藤:・・・コンテニューする。まだ、ゲームは終わらないんだよ。
悠:・・・殺すよ?
この藤村先生、ヤバい。かっこよすぎ。シビレルどか。すごいなあ、良い役だなあ。このドラマが舞台になったら、そんでどかがキャストになれるなら絶対、藤村先生やりたいなあ。かなり、明確に藤村先生の立ち位置がわかってきた、どか。これは次回以降に言葉にしてみたい。
さてメインの「藤木直人ストーリー」。あいまいだった事象がどんどん水揚げされていく。彼の主治医との会話の中に「鏡面化」という、まさにこのドラマ全編に通じるキーワードがあっさりズバッと出しちゃうのな、野島サン。この辺の出し惜しみの無さは、少しつかっぽいなと思う。そこにあるのは、自らの展開力への、揺るぎない自信。その自信を裏付けるように、少しずつ野島節な台詞が、初めてどんどん連鎖して繋がっていく・・・
さて、まるっきし「普通の娘」というキャラ立てだったはずの雛だけど、少しずつ「特別な」感じを醸しつつな気がするどか。たとえば、デートの約束をとりつけた雛が郁己に、深夜電話をかけるシーン。
郁:・・・雨が降ったら、中止だ。
雛:うそ、どうして?
郁:やっぱり、教師と生徒だし、誰かに見られるとまずいだろ。
雛:変装すれば、サングラスかけて、
郁:すまない。
雛:すいません。いま、夜なんですけど。 夜はやさしくなるんだよ、先生は? ・・・おーい・・・(電話切れる)あれ? (電話かけ直して)なんか電波悪くて、家のまえ工事中だから。 ・・・もしかして、切ったの?
郁:・・・まあ。
雛:うわ、おとなげなーい。
何気ない、可愛らしいシーンなんだけれど。でも、この雛の台詞は「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」の重要キャラクターである佐伯クン(窪塚洋介)のそれをかなり思い出させる。言い方もそんな感じだったし。特別な、純粋さ。それは純粋じゃないモノがこの世にあることを知った上で、なお純粋なモノを信じる純粋さ。郁己の実験に巻き込まれてしまい、少しずつ変わってきたということなのかなあ。それはでも、きっといいこと。やっぱり「普通の娘」のままだったら、野島伸司の世界観では生きていかれないもの、最終回までわ。そんなふうにサリゲにパワーアップしてきた雛チャンに対抗する郁己センセイ。第4話のクライマックスのシーン、雛がジェットコースターのコースを一人どんどん登っていくところで、
郁:やめろっ! いけないよ、わかるけど、そんなことしちゃいけない。 後に残される人の悲しみを考えるんだ。 いや、現実にはそんなこと考えられないかも知れない。 だけど、自殺なんか絶対ダメだ! ほら、人間は生まれるときは自分の意志じゃない。 だから、死ぬときも自分の意志じゃだめなんだ! 生き物はそうあるべきなんだ。 例え一日でも、精いっぱい生きるべきなんだ・・・
これは、岡野玲子の陰陽師風に言えば「言挙げ」なんだろうね。雛に依存されることで初めて自分のバランスを取り戻した郁己。藤木直人、頑張ったなー偉いぞぉ。ちゃんと、野島節だった、リアリティのある。雛も郁己も、だんだんお互いテンションがあがってきた、それでこそ、野島ドラマ。
さて恒例の「本日のベスト彩ちゃん」のコーナー(どかの独断により、今回から恒例)は、以下のシーン。
雛:ほら、はやくシャワー浴びて。
郁:なんで?
雛:なんでって・・・ほら・・・ (郁己の手を引っ張って窓際に連れて行き、カーテンと窓を開ける、 澄み渡る青空、快晴)。
郁:(呆然と)あ・・・降水確率60%って、
雛:(テルテル坊主を見せつつ微笑んで)気合い。
この「気合い」って言った瞬間の彼女。もう、ヤバい、ヤバすぎ、ヤバエスト。ヤバ三段活用ナリ(by岡崎京子)って感じ。
・・・だめだ、私。
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