un capodoglio d'avorio
2003年01月21日(火) |
劇団黄河砂「笑の大学」 |
国際基督教大学の学生劇団の公演、新D館多目的ホール特設ステージにて、ソワレ観劇。いまをときめく劇作家・三谷幸喜の、東京サンシャインボーイズ時代の佳作戯曲、二人芝居。
どかは前にも黄河砂で「笑の大学」を観ていて、そんときはどかの寮の後輩・おかそおクンと、同じアパートに住んでた後輩のまついクンがキャストをやったんだよねー、とても思い出深い舞台だったな、あれ。二人とも、お芝居、上手だったし。戯曲自体・かなり出来がいいし、チケット安いし、昔のそれと比べてやろーっていう少しいぢわるな客として観ることにした。
うん、楽しかったー。素直に楽しめたよぉ。上手い子、いるんだね、ちゃんと。
戦時下、上演前にその戯曲を検閲する役人と、劇団の座付き喜劇作家(兼演出)の会話劇。公演日が迫ってるためにできるだけ早く上演許可が欲しい作家・椿サンと、基本的に喜劇の存在意義に疑問を抱いてる堅物の検閲官・向坂サン。来る日も来る日も訂正箇所を指摘される椿サンは、それでもめげずに無茶難題をクリアして(あんまししてないんだけど)向坂サンに見せにくる。それを向坂サンは、持ち前の細かいA型気質丸出しに、芝居の不条理を指摘して「笑えない」と椿サンを困らせる(実はこの指摘、他の劇作家は痛いんじゃないかな)。
そんな丁々発止なドタバタの淵から浮かび上がるほのかな友情とヒューマニズム、そんなテーマを、軽妙で洗練されたネタを絡めて見せていくからついつい引き込まれてしまう。基本的にウェルメイドな芝居が嫌いなどかでさえ、つい。
まー、三谷幸喜は、ふっつーに面白いし、笑えるし、それ以上あんまし書くこと無いなーって思う。つかや野田や鴻上や青年団や扉座や大人計画はなにか書きたくなっちゃうんだけど。だから、少し些末に。
二人の役者さん、両方、上手かった。普通に。向坂サン役の平田クンは前に、劇団エンジェルエンジンの公演で観た気がするんだけど気のせいかな?でも何となく名前知ってて、この人は上手いだろうなと思ってたらやっぱり上手かった。ビックリしたのは椿サン役の梅沢クン。前にやったおかそおクンのそれとは全然違う解釈で、同じくらい説得力のある役にしてた。ちゃんと、自分の、文法で。ナイーブだけど芯のある魅力的な喜劇作家だった。比べると平田クンの向坂サンが少し弱いかなと思うけど、でも仕方ないかも。だって、この二人芝居、どう考えても向坂サン役のほうが難しい。もう少し「拝見」っていう言葉が冷たく重たく響けば良かったのにな、なんて。
舞台美術、もすこし。ウェルメイドに挑戦するなら、大道具と小道具のリアリティが実は命綱でしょ。少し、安っぽかったな、書き割り。
音響、箱の中の小鳥の鳴き声、もすこしなんとかならなかったのかな。
照明わ・・・んー、よく多目的ホールにあれだけ灯体つり込んだなと思った。良かったのでわ。暗転もきびきびしてた。
そりゃあ、サンシャインボーイズの頃にやった西村雅彦サンとかと比べると、笑えるいいネタをみすみす流してしまったりもったいないことをしてたんだけど、でも何よりも、チケット代だ、と思う。だって、この前の「ピルグリム」の十分の一の値段だよ、これで。しかも「ピルグリム」の二割り増しでどかはきっちり楽しんだ。コストパフォーマンスって、ぜったい大切やと思う。青年団やつかはそこが偉いな、やはし。
こんどは「三谷幸喜の罠」も再演願うどか。「アパッチ行進曲」だっけ、前に黄河砂で上演したときのタイトルは?
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