un capodoglio d'avorio
2002年12月24日(火) |
メトロポリタン美術館展@Bunkamura |
実は、きょう行こうおもてた展覧会「ウィーン美術史美術館展@芸大付属美術館」が昨日まででおしまいなことが判明。ああああ、しまったああ。ちゃんとチェックしとくんやったあ。
そんで、ネコバスくんが「タダ券あるよ」って教えてくれたBunkamuraの、こっちに行くことにする。「美術史美術館展」はこのあと、京都に行くはず。うし、そこでつかまえよう。
↑案外しょぼい、東急Bunkamuraのクリスマスオブジェ
メトロポリタン美術館展、副題が「ピカソとエコール・ド・パリ」。パリ派ってじつはあんまし好きくないどか。んー、おたかくとまってる感じがするのね、なんか。でも、想像以上に楽しめたなあ。「またピカソかあ」って少々食傷気味だったんだけどそれでもやっぱしピカソはピカソなんよ。駄作は、少ない。
「ジャンヌ・エピュデルヌ」byアメデオ・モディリアーニ
「マドレーヌ・カスタン」byシャイム・スーチン
「金魚鉢」byアンリ・マティス
「盲人の食事」「白い服の女」byパブロ・ピカソ
この五つと、あとキュビズム時代のピカソとブラックの作品がどかてきにつぼ。そうそうそう、キュビズムの絵が楽しかったなあ。特に初期のヤツ。これは大学3年の春までは全然その良さが分からへんかったけど、授業のスライドで出てきて、それで食い入るように見てたら突然、分かった、おもしろさが。でも「食い入るように」見ることが前提みたいな作品やから(少なくともどかにとっては)、疲れてるときには辛いな。きょうは、体調、かなり厳しかってんけど、でもこれ見てるときだけは結構復調。叙情的というよりは知的快楽に浸れる時間。
モディリアー二も一級品が来ててビックリ。スーチンは久々であのカドミウムレッドの毒々しさにやられる。ピカソはやっぱし青の時代はいいなと再確認。「白い服の女」の説得力がどこから来るのか、いまのどかはまだ分からなくて悔しい。魅力的な絵がなぜ、魅力的なのか、説明出来ないことの、おおもどかしさよ。
そしてきょうのどかのベストはマティスの「金魚鉢」。マティスは当たりはずれがデカい画家と勝手に決めてるんやけど、これ以外のはきょうのは大外れ。でも、これだけがすごい良い。彼のキャリア通しても傑作だと思う。テーブルの上の鉢に泳ぐ金魚、その水色とオレンジと黒の対比の間できらめく薄緑のはかなさ。そして鉢の前にたたずむ三つのリンゴの色彩のリズム。目の水晶体の奥のほうで、麻薬がじんじん痺れてくる感じ。ああ、気持ちいいの(危ないな・・・)。輪郭から絵が解放することの困難を乗り越えた境地の快楽は、光琳や宗達のそれと類似する気がする。その「麻薬」の使用感も、いっしょだもん、どかには。
んー、思いのほか、楽しめてしまって困った。キュビズムの<線>がどかの鍵を開けてマティスの<色>がその中に快楽を注ぎ込む。もし、きょう「美術史美術館展」に行けてたらこっちはこなかったかもだから、ラッキーかも知れない。イヴだしね、いいことがあってもバチあたらんよな。
↑比べると、さすがに迫力あるマークシティのツリー
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