un capodoglio d'avorio
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2002年05月09日(木) 津田雅美「カレカノ(13)」

今朝は頑張ってテンションを上げて行こうと決意。
例えれば「足がつって溺れるのを待つ」のではなく、
「ウェートを抱えてダイブしてマンタに会いに行く」くらいの構え。
始業時はドキドキしたけど・・・成功!
やっぱ攻めないとね、うん。
ミスは少なかったし全体像も見えて来た、よしよし、うんうん。

さて「カレカノ」最新刊の感想を。
独断と偏見によれば、津田雅美はスランプに陥っていた。
一時期は一世を風靡したくらいの高い人気を背景に、
連載を嫌が応でも続けなければならず、
そのためサブキャラにいちいちスポットを当てインターミッションを展開する。
けれどもそれぞれのキャラをいまいち掘り下げることができず、浅薄な時間稼ぎにしかとれない。
が・・・「カレカノ」は華麗に復活した、この巻は面白い、何と行っても「プリンチュ」アリマ編だ。

小説における文体が無視できない要素のように、マンガにおける絵は絶対看過できない要素だ。
少し前の津田さんは絵が乱れていた、ペン入れが雑だし、構図も迷いが見えて読みにくい。
でもここに来て深化していくアリマくんの世界に呼応するように、絵も真面目に丁寧に描かれている。
第1巻のころみたいなデフォルメとシンプリシティは無いが、その代わりに奇麗さ丁寧さが見える。
そりゃあ、松本大洋や岡崎京子のような「才能」には見劣りするけれど、好感は持てると思う。
その絵柄に支えられて(引っ張られて)物語はのっけからテンションが高い。

アリマくん分裂!

ユキノンはアリマと会ってそれまでバラバラだった自分を一つにマトメテいった、それは自己実現。
アリマも同じ道筋を辿るかと思いきや、違うのだ。
アリマはユキノンに会ってそれまでまがいなりにも一つにマトマッテいた自分が、
二つに分裂して行く道を辿って行く、それもまた自己実現のために。
う〜ん、アンビバレンツだねー。
これはでも、すっごい切ないなあ
(ちなみに作者はアリマの内面の描写をある種の「凄み」でもって語ろうとする。
 しかしこれは失敗している、なぜなら「凄み」を出すには
 あまりに華奢な筆致だから、でも「切ない」からいいと思う)。
アリマの殻はどんどん堅く、厚くなってしまうが、同時にユキノンへの気持ちも大きくなって。
この二律背反をしのぐためにアリマは他者を圧倒する優秀さをどんどん磨いて加速して行く。

怖いよう。

アリマくんは自分の内面を、唯一、アサピンにだけは話す。
アサピン、かっくいー、チョー好き。
どかのツボだ、この人。
「バタ金」のカヲルくんとはるくらい、ドカの中では「いい男」、タイプは正反対だけど。
かっこいいな「ホストクラブ」で働いて学費稼いで「美大」に通いたい、なんて・・・
じゃあ、どかもそれ、やるー!

まじめな話、このプロットだとアサピンがいないと話が重すぎて読者はついて行かれないだろう。
津田さんのバランス感覚は見事だな、アサピンになりたい(不明)。


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