un capodoglio d'avorio
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2002年03月10日(日) 第10回森林たくみ塾展@紀伊國屋書店新宿本店

昨晩深夜25時30分ごろ、くりふ氏到着、我が部屋に逗留。
今朝7時45分頃、自身の卒業作品を会場に搬入するためくりふ氏出陣。
8時30分、オーソリセンター所長より電話入る。
「今夜の夜勤に入る人が熱でダウン、すまんが入ってくれないか?」
4秒考えて快諾、もともと遅番出勤が夜勤に変更。

上記経緯でくりふ氏の作品を見にいく時間をつくることが出来たので行ってきた。

森林たくみ塾とは飛騨高山にあるオークビレッジという木工家具職人集団の中で、
職人見習の若者へ技術精神を注入するいわば養成機関。
と、言えば聞こえは好いけれど、くりふ氏よりつとに聞くところによると、
実情は・・・らしい(自主規制)。
そんな予備知識を貯えた上、幸運にも解説者くりふ氏の案内で会場に赴いた。

結論から言うと、とてもいい刺激を受けることが出来た!
身内贔屓かも知れないけれど、くりふ氏の「書斎机」はとても魅力的に映った。
それはただの書斎机では無かった。
まずでかい。
全幅は160cmもあって奥行きと高さはそれぞれ70cmを超える。
これだけの質量の天然木が目の前にあるとそれだけで荘厳な感じがするから不思議だ。
さらにその切り抜かれた天板の中央部を持ち上げて前方斜め奥にスライドさせると、
そこには、ああ、パワーブックがっ。
右下の引き出しを開けるとそこにはそのまま印刷できる状態のプリンタがっ。
つまりこれは「自然」と"PC DEVICE"の共生がテーマかのよう。
その天板がスゥっと(このスゥッがポイント、決してガタンと直裁的に落ちてゆかない)、
天板が消えてプラットフォームが現れる様は、まるでホワイトベース。
さすが、ガンダム世代、参りました。
所詮エゥーゴのアーガマは連邦軍の白馬にはかないません(やや不明)。

でも一番どかが感じ入ったのは、ここまで自分の理想を明確にイメージし、
かつそれを実際の材料に落とし込んでいくそのエネルギー。
それって、別に家具造りに限らず全ての日常のシーンにおいて、
みんながみんな四苦八苦するところ。
「う〜ん、すげー、かっきー」
と、一人でいつまでもパワーブックを出撃させていたどかでした。

でもこんなに力作なのに、オークビレッジとたくみ塾はこの机に値段をつけなかった。
「理由は?」と聞くとくりふ氏は自嘲ぎみに、
「塗りが甘いことと、机にマッチする椅子を用意して展示できなかったこと」
と応えた。
わけわかんない、オークビレッジ。
確かにパッと聞くとそれは素晴らしい理想主義だが、ズレてるよ。
理想と言うのは多かれ少なかれ押し付けがましい性格を持つのは仕様がないし、
純粋にそれに殉じようと踏ん張るとバランスはどんどん危うくなって、
廻りの人間は少しずつ振り落とされていってしまう。
「せめてたくみ塾の展示会に足を運ぶ人は、パトロンになるかもしれんし、頑張って拾おう」
ってスタッフは思ったのかもしれんが、
まる二年間「○○働き」させてきた一人の塾生を振り落としてしまって後で、
一体誰をその理想で拾えると思っているんでしょう。

でもでもさ、そんないろんな憤りやご満悦や欺瞞や犠牲や蹉跌が渦巻く会場で、
あくまで涼しい顔をして机は佇んでいたよ。
何かを創造するということの、何と説得力に満ちていることだろう。
値段が付いてない値札を最後に見つめて
「23万円だったら買う!」
と呟いて夜勤に向かった。


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