ねろえび日記
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2006年06月24日(土)  MIRAGE

今日は、粟根過去話です。



MIRAGE(ミラージュ)
演劇集団キャラメルボックスの2000年の作品。
ずっと見たかった作品で、ようやくVHSビデオを入手した。
粟根さんが客演しているからなんですけど。


生徒に慕われる高校の英語教師、新庄先生(粟根まこと)。妻が急死し、教師を辞め後追い自殺を考えているが、それを察知したかつての教え子たちが英語のグループレッスンを頼み立ち直ってもらおうとする。

みたいな内容ですが、説教くさくて、自分勝手な奴が多すぎで、そのわりにラストは都合のいいように感動的にまとめてる脚本が自分の好みではないし、劇団員の演技も暑苦して、ちょっと苦手な芝居だった。
あ、教え子のマンガ家の女性が描いているマンガの内容がそのままお芝居になっているという趣向はわかりやすくてよかったかも。

自分勝手というのは、善意の押し売りの教え子(まあそのおかげで結局先生は立ち直ったんだけど)、夫が気に入らなくて子どもをほったらかして家出している新庄先生の姉、毒薬を持ち出して周囲を大騒ぎさせた新庄先生の娘、そして他ならぬ新庄先生も一人娘が眼中になく死んだ妻のことばかり考えている。


そんな中でも、粟根さんだけは凄くよかった。
30半ば(当時)で50歳の新庄先生が似合いすぎ。素敵でダンディーなロマンスグレイ。ヒゲと眼鏡、美しい手に結婚指輪、レトロな三つ揃い、そして背広を脱いだベスト姿が絶品だった。まだ痩せてる頃だしね〜。
ハッキリ言って出演者(女優含む)の中で一番可憐で綺麗だった。
おっとりした先生だけど、ふとした身のこなしはキレがある。
抑えた演技も上手かったし、声を張らないのに台詞が聞き取りやすい。
間の取り方も絶妙、台詞がなくて佇んでいる時も雰囲気があった。
控えめなボケも可愛かったし、何より新感線の時と違って上品でした。

生徒に慕われるいい先生という点も心をくすぐられるが、意外と恋愛体質なところもモエポイントだった。
後追いを考えて妻が愛用していた香水の空き瓶に毒を入れていつも持っているとか妻の幻影と毎日お喋りというもの常識的に考えれば何だかな〜なのだが、彼がそれだけ優子さんを愛していたのね〜と思えばその破滅的行為も色っぽい。



無界屋蘭兵衛、オグナノタケル、新庄先生と、30代前半から半ばの粟根さんは、主演の一角を担い文句なく異常にカッコよく色っぽかったのだなと改めて思った。
でも、そこから自分らしい着地点を見つけられて今に至るなのね……。
今のおっさんで脇に徹する粟根さんも好きですよ。


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