こたつの上にはいくつかのみかんが置いてある。 丁寧に皮をむいて、それからまた丁寧に筋も取り除く彼女と、 大雑把に皮をむいて二口で食べてしまう僕。 彼女がようやく1つ食べ終わる頃には、僕が食べた皮だけの実のないみかんが3つ程、無造作に置いてあって僕は寝転んでTVを見ている。
「お腹すいたね」 と1時間程してから彼女はTVの方を見ながら僕に言った。そして、 「何食べたい?」 と聞いてきた。こう言うとき、手のかかるモノを注文したら何時間後に出てくるか分からない。僕は、 「簡単なもの」 と注文する事にしている。 きっとこうでも言わないと、料理がこたつに出てくる前に全てのみかんを食べ尽くして食事どころではなくなってしまうだろう。
こたつの暖かさと心地よさについ油断して寝てしまった僕を起こす彼女、 こたつの上には夕食が置かれていた。 「いただきます」 ゆっくり、食べよう。 ゆっくり、話そう。 食べ終わったら、またみかん食べよう。
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