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2004年04月07日(水) 雲の嫉妬

天気のイイ夜には月が出る。
暗闇の中にポツンと浮かぶ月は遠い過去のような、儚い未来のようにも思える。

ベランダに出て、ビールを飲む。
月との会話が始まる。

「また一緒に飲みましょうよ」
と問うと、

「私とばかり飲んでばかりいると雲が嫉妬しますので…」

「じゃあ、雲も呼びましょうよ」

「そうですね、私は雲に隠されてしまうかもしれまんが、また御一緒しましょう」

「お願いしますよ、雲に私の事紹介しておいてくれますか?」

「わかりました。しかし、どうも雲は嫉妬深いので貴方の事をどう思うか…」

「心配しないでくださいよ!私は何もしませんから」

「そうではないのです。貴方の事を気に入ってしまったら、これから私の出番がなくなってしまう…曇りばかりの夜になってしまいますよ!!!」

「それは困りますね、七夕も天体観測もできなくなってしまうじゃないですか!」

「だから…あまり雲とは関わらないほうが…」

「そうすると…どちらとも関われなくなってしまうじゃないですか!」

「今日で貴方とこうしてお酒を飲むのも最後です、残念ですが…」

「分かりました。今日は朝までゆっくり飲みましょう」

次の日はしっかりベッドの上で起きたのだが、夜になると大雨になった。
きっと月が悲しんでいるのだろうと思いながら、晩酌を1人で交わした。


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