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2003年03月21日(金) 白い部屋

白い部屋の白い壁を、全て黒くしたいと其奴は考えた。
太陽の光だけで生きていこうと思った。
それだけが其奴にとって必要なモノだった。
太陽と共に目覚め、
月と共に眠る。
先ず、煙草を取り出した。何年掛かるか分からないけど、
『ヤニ』で部屋を黒くしようと火をつけた。
けれど、いつしか其奴は気付いた。
これはキリがないと・・・。そして喉も痛かった。
遂に声が出なくなった。吸いすぎによる喉の酷使によって。
『ヤニ』で黒くするのは諦めてしまった。
手っ取り早く黒いペンキを買ってきた。
そして白い部屋にぶちまけた。其奴の人生のリセットのためと暗い過去と一緒に。
敢えて黒くしてみた。それが未来へ手がかりとなるに違いない!と其奴は強く思った。
全てが黒に染まった。
満足だった。全てが黒くなった時、彼は思わず拳を空に掲げた。黒い空に。
争いに勝利した勇者のような顔をして。
しかし、彼はすぐに外に出た。眩しくて、空に向け涙を流した。
 


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