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2002年09月03日(火) 1円玉

部屋に一円玉が一枚落ちていていることにしてこの話を始めよう。
僕は見て見ぬ振りをする。落ちている一円玉をシカトする。
翌日、コンビニで買い物をした際に手持ちの金額より、買い物の合計金額の方が一円上回った。
結局、一品減らして買わざるを得なかった。
が、アルバイトの店員を殺していたかもしれない。
たかが一円不足していると言うだけの理由で。
これは、恐い。
一円>人の命となってしまうのだから。
その瞬間人間の命は一円の価値すら持たない生物として見なされるのだから。
もし、部屋に落ちていた一円玉を拾っておきさえすればじぶんは殺人者にならずにすんだのに・・・。
時として人の命よりも重くなってしまう一円玉。
僕はその一円玉をオークションに出品する事にした。
買い手は当然いなかった。なぜなら『貴方の人生と引き替えに』という条件だったからだ。
実のところ、こんな一円玉が世の中にはたくさんあるのかもしれない。
99円の品を買い100円を出す。
一円のお釣りを備え付けの募金箱に入れる。
遠い、恵まれない子供たちのことを思って。
翌日、101円の品を買おうと思ったのだが、100円しかなかった。
誰のせいなのか?恵まれない子供のせい?
結局店員を殺した。
罪は一円玉に向けられた。
しかし、その一円玉は恵まれない子供を救える一円玉でもあった。


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