「りりかがいなくなってしまいそうで、不安」
栄から言われた。
しかも、仕事中に。
暇なアイドルの時間。
いつもならお互いに仕事に没頭しているんだけど。
栄が手を止めて、事務仕事をしている私にそう言って来た。
「仕事中だよ」
「分かってる。ごめん」
「なら、仕事に戻りなさい」
「はい・・・」
冷静に言ったけど。
すごくドキドキしてた。
心臓が止まるかと思うくらいに。
私のほうが上がる時間が早かったから。
逃げるように帰って来てしまった。
こんな避けてるばかりじゃ、話なんか出来っこないのに。
ハルには夜の電話で。
「例の人には、話したの?」と聞かれ。
「まだ・・・言えてない」
「そっか。今二股状態って事だね」
「・・・二股」
「別に責めてないから」
声のトーンが、充分責めてるってば。
「明日、仕事が終わった後。時間を作ってください」
栄にメールをした。
「分かりました」
敬語で返ってきた。
今度幸せだと思ったら。
大事にするって決めたのは、私。
ハルが不安にならないように。
大好きだって事を、いっぱい伝えなきゃ、と思ったのも、私。
ちゃんとしなきゃ。
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