職場では、たいていの人が私の事を「りりかさん」と名前にさん付けをする。
呼び捨てにするのは、尊敬している大先輩の社員さんとMさんくらい。
休憩しているとき、Eに「りりか」と呼ばれた。
一瞬止まってしまった。
ホント一瞬だけど。
その後すぐ。
「年下のくせに、呼び捨てにしないでよね。生意気」
って笑いながら言ったけど。
ドキドキした。
なんで、こんな事でドキドキするんだろう。
バカみたい。
夜、あいつが来た。
あいつは子供たちの前でも私を「りりか」と呼ぶ。
「ママに聞いてみて」とか言わずに「りりかに聞いてみて」とか、そんな感じ。
最初は違和感あったけど、今は慣れた。
そういえば、あいつだって最初は「りりかさん」だったね。
初めて「りりか」って呼ばれたときは、やっぱりドキドキしたっけ。
嫌いって言われるよりも好きって言われる方が嬉しいに決まってる。
だけどね。
どう返答していいか分からない「好き」って言葉は。
何も言えず黙ってしまう自分のずるさを直視してしまうから、少し悲しい。
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