子供たちは、今日から旅行に。
疲れた体で帰ってきた部屋は、誰もいない空間で。
ものすごく、寂しくなった。
早く帰ってこないかなぁって、そればっかり考えた。
夜8時に家について。
シャワーを浴びて、だらだらしていたら。
9時、玄関のチャイムがなった。
「はい?」
「Hですけど」
「え!?どうしたの!?」
「いや、仕事がこっちだったから、顔見ようかなぁって」
「えーー!びっくりー!」
「うん、びっくりはいいから、開けてくれない?」
・・・インターホン越しに会話してた。
入ってくる早々「お腹空いたー」と言い、昼ご飯用に買ったパンを食べだしてた。
私は、牛乳を入れてあげて。
「今日泊まって行けるの?」
寂しくて仕方なかった私は、彼に聞く。
「・・・明日、朝早くから仕事があって。泊まれないんだよ」
「そう・・・」
「余計寂しがらせちゃうかな?来ないほうがよかったかな?」
「うん」
「そうはっきり言うなよー(笑)」
昨日見てきた地元の花火大会を、携帯のムービーで撮ったからって。
それを見せたかったんだって。
画面が小さくて、よく分からないよー。
とか文句ばっかり言ってる私だけど。
気持ちは、すごく嬉しいって思った。
見せたいって思ってくれる気持ち。
「来年は、一緒に、子供たち連れて、行こうね」
あいつは、携帯を握り締めて何度も何度もリプレイしている私に、言った。
帰る間際、玄関まで見送った私に、一瞬キスをした。
ホント一瞬で、早業で、びっくりしてる私に。
「あ、これ私忘れるところだった」
って、ポケットから出してきた物は、お香。
「りりか、こう言う香り好きじゃん」
green forest
「これで癒されてね。鍵閉めて、早く寝なさい。おやすみ」
あなたの。
こう言うところが、私は凄いなって思う。
大事な人を、本当に大切に出来るところが。
私は。
大事な人を、大切に出来ないから。
どうやって、大切にしたらいいのか、分からなくなるから。
だけど、少しずつ分かってきたよ。
あなたが、私を大切にしてくれる所を。
一番近くで見て来たから。
彼が買って来てくれたお香。
もらってすぐに、早速焚いてみた。
私の大好きな香りだったよ。
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