march forward.
りりかの独り言。

2004年03月27日(土) 桜並木

私が泣くと、あいつはいつだって無理をする。

分かっているから、泣きたくないっていつも思う。

悲しい事があっても、寂しくても、どうしても会いたくても。

泣いたらだめだって思うようになって。

最近は、あまり泣かなくなったなぁ。

遠距離になったばかりの頃は、年がら年中泣いていたのに。





私とあいつが毎年行っている桜並木が。

今日の昼間の時点で八分咲きだったと、O君に聞いた。

あいつは、明日は仕事。

だから、一緒に行く事は出来ない。



一緒に見に行きたい。

って言う気持ちと。

でも、仕事があるのに無理して欲しくない。

って言う気持ちと。

半々にあって。



半々だったのに。

いつの間にか「一緒に見に行きたい」って言うほうが勝ってしまって。

仕事から上がった後、あいつからのメールで。

「桜は散ってしまうけど、来週のりりかの誕生日には必ず行くから」

と書いてあったのを見て。

「来週の誕生日なんかどうでもいい。今日、来て。今日、あの桜並木に行きたい」

と、思わず返してしまう。

あいつはすぐに電話をかけて来た。

「どうした?りりかがそんな風に言うなんて珍しい」

「だって、もう八分咲きなんだって。来週は散っちゃう。去年、来年も一緒に行こうねって約束したのにー・・・」

最後の方は、泣いてしまって、声にならなかった。



そのまま、電話は切れて。

きっと、呆れて、それで電話を切られちゃったんだ・・・。

私は泣きじゃくっていた。



10分経ったか、それくらいでまた着信。

「今、高速乗ったよ。待ってて、あと二時間くらい」



時間は夜10時を回っていた。

明日は、朝早いとあいつは言ってた。

ようやく、私はとんでもない事を言ってしまったと思う。

「だめだよ・・・ごめん、次のインターで降りて、引き返して・・・。もう平気・・・ごめん」

「平気じゃないよ。りりかがそんな風にわがまま言うのなんか、おかしい証拠だよ。大丈夫、一緒に見に行こう。それで、ゆっくり並木道を歩いたりしてさ。そっちを3時位に出れば間に合うから」

「だめだって。寝ないで仕事なんか行かないで。危ないから・・・お願い」

「りりか・・・ごめんね。毎年ずっと行こうねって約束してたのに、破るようになってしまって・・・。ごめんね」

「いいの、来ようとしてくれた事だけでも、充分嬉しいから。もう、いいから・・・」


10分くらい「行く」「来ないで」の、言い合いして。

あいつは結局、次のインターで降りて、引き返した。

私は社員会に欠席の電話をして、帰宅した。

あいつも家について電話が来て。

「あの並木道の桜じゃないけど。俺んちの方の桜は、5月くらいまで咲いてるところもあるから。そこ行こう。お互いに休みの日に」

「うん、そうだね、そうしよう」

「来週のりりかの誕生日も、もう散ってるかもしれないけど、少しは残ってるだろ。あの並木道、行ってみようね」




最近、喧嘩ばっかりだった。

喧嘩して、一日が終わる。

そんな感じばっかりだった。

なんでかなぁって、考えてみた。


きっと、二人とも余裕が無いんだね、って、あいつが言った。

一緒に暮らすことも、もう未来の話じゃなくて。

俺は仕事を頑張らなきゃ、もっと稼いで楽させたいって躍起になって。




「そして、りりかは、俺の負担になりたくないって、気持ちの中のマイナス面とかも出さなくなって。どんどん負担になっていたのは、りりかの気持ちだよ。もっともっと、会いたい、今日来て、なんて、さっきみたいに言っていいんだからね」




最近、しっくり行ってなかった気がしてた。

でも、何だかそう言うのがスーッと取れた気がした。



いつだって、あいつは私の事を思ってくれてる。

思い過ぎて喧嘩になったりする。



満開の桜並木には行けなかったけど。

でも、今年もあいつと一緒にいるのは、変わってない。

それだけでも、充分じゃない?


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