夜7時過ぎ。
職場でトラブルがあり。
本部へ急に行くことになった。
土曜の夕方って事で、道も混んでて・・・。
ボーっとしながら、運転中。
あいつからメールが来た。
「今から飲みに行きます(汗マーク)」
・・・。
昨日の電話で。
日曜は完全に仕事になっちゃったーと言ってたあいつ。
なら、明日の土曜はまさかまた(キャバクラに)飲みに行くんじゃ・・・なんて私が言った。
行かないと思う。なんて言ってたあいつ。
思うって何よ?って聞いたら。
いや、行かないってば。約束する!って言い切ったあいつ。
なのに、飲みに行くってなんですか?
「はぁ?」
って返した。
もう、このまま仕事を放り出して、高速に乗って、あいつの所に行って、殴ってやろうかなと思うくらいの怒りの中。
「飲みに行きます。これから腹ごしらえしてから行きます」
返事のメール。
「勝手にして」
心からそう思って、返信した。
運転しながら。
なんだかどんどん気持ちが冷めて行く自分に気付いた。
キャバクラの嘘がばれたのって、先週だよ?
今日、本当にキャバクラじゃなく、普通に飲みに行ったとしても。
私はもう、そんな言葉信じられないんだろうなぁって。
なんだか、どうでもいいや・・・。
そんな風に、悲しくなるのを通り越して、呆れてきてしまった。
少しして、あいつから電話が来た。
一瞬出るのをためらう。
あいつは、飲みに行く前、必ず電話をしてくる。
夜、長く電話が出来ない分の変わりに少しだけ。
「はい?」
「もしもーし。飲みに行くから電話しました」
「そうですか、分かりました。じゃあ、気を付けて」
「待って待って!!!切らないで、切らないで!!!」
切ろうと思って、耳から電話を離したら、あいつの焦っている声がする。
なんでそんな言い訳がましいのよ。
だったら、最初から行かなきゃいいじゃん!
「何?今ね、トラブって○○まで、運転中なんだわ。悪いけど、危ないから切りたいんだけど」
「えーー、大変だねー。今日は残業確定かな?」
「まだ分からないけど。まぁ、残業すれば、残業代つくし、いいよ。暇だし(ここを強調してみた)」
「あのね、飲みに行く場所なんだけど」
「いいよ、聞きたくない」
「だから、待ってよ!切らないでよ!」
「切ろうとしてませんが」
「・・・。あのね、飲みに行く場所は!東京!りりかの所に行く!」
「・・・。え?」
「行くから、待っててね。あ、飲むのはりりかの店でって事なんだけど」
「明日休みになったの!?」
「ううん。仕事。でも、もう2週間会ってないし、会いたくなっちゃって、仕事終わってから即行で用意したんだよ!」
「なら。なんで遠まわしに、飲みに行ってきます、汗マーク。なんて付けるのよ!!!!!」
だって、驚かせたかったし。
本当はそのまま内緒で行こうと思ってたんだけど。
すげ怒ってるみたいだったし。
それに、もし予定とか入れちゃったら困るし。
やっぱり、言っておこうと。
びっくりした??
って、嬉しそうに聞いてくる。
今さっきまで、もうやだ、あんなやつ、大嫌いになろう!みたいに、呆れていた気分は、そうそう一気に上がるものでもなく。
とにかく「気を付けてね」と言った。
本部へ行き、戻って来たらすぐにあいつもついて。
ビールを飲み。
嬉しそうに、ずっとこっちを見ているから、仕事がし辛かった・・・。
上がった後。
車の中で、年末の予定を立てよう、と言い出して。
あいつが持参した本を見ながら。
色々話す。
場所は、海の見える露天風呂がある所に決定。
正月料金でちょっと高いけど。
でも、最初にあいつが言っていた旅館よりはかなり安い。
そう思っていたら。
「31日から二泊するから」
って。
結局、料金一緒じゃないの・・・。
無事に泊まる所も取れたんだけど。
少し仮眠してから帰るね、って。
私は起こす役なので、雑誌見ながら起きてた。
3時間くらい寝て、真夜中、帰って行った。
来て帰る、往復に4時間。
私と話した時間が3時間。
睡眠が3時間。
私のために使ってくれた時間が、10時間。
あいつが来てすぐ。
「もー、休み無いと、クリスマスプレゼント買いに行く時間がないじゃんー」
なんて、わがままを言ってしまった。
折角来てくれたお礼を言う前に、言ってしまった。
「飲みに行く」って電話から、テンションが下がっていたせいもあるかも知れない。
でもそんなのは、私の言い訳。
あいつは笑って。
「ごめんね。休み、取れるように頑張るから!クリスマス過ぎてでも買いに行こう?」
って言ってくれたのに。
私は。
「クリスマス過ぎたら、クリスマスプレゼントじゃないもん」
なんて言ってしまい。
あいつは笑って。
やっぱり。
「ごめんね」
を繰り返すだけだった。
家に帰宅した後。
10時間も。
色々な自分の時間を削り。
睡眠時間を削ってまで。
私に会うために、作ってくれたんだ。
そう思ったら。
なんだか、わがまま言ってた自分が悲しい人間だと思った。
だから、次の電話ではちゃんと言おう。
「来てくれて、ありがとう」
って。
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