土砂降りの夕方。
「今家につきました」
ってメールが来た。
あたしは、これから家に帰ろうと思ってたところ。
「今日は早いね」
って返したら、折り返し電話が来た。
「お疲れ。日曜日、休みだったら行こうと思ってるんだけど、りりかどうなってるんだっけ?」
「あたし、朝から夜まで仕事だわ」
「そっかー・・・仕事終わってから会うって無理?」
「だって、月曜は仕事なんでしょ?数時間しか会えないんじゃない?」
「でも、りりかは月曜休みだったよね?」
「あ・・・ク、クラス会だから休みなんだよ」
「そうだったんだー、初耳」
「だから、朝早いし・・・日曜はやめておこうよ」
「そしたら、次会うのは、りりかが俺んちに来る日だね」
「・・・だね」
月曜、子供たちと会う予定。
学校が開校記念日らしい。
平日じゃなきゃ、混むよね、って話しになって。
あたしは、休みを取ってあった。
あいつは、昔からあたしの仕事を把握してて。
いつ次が休み、とか、分かってる。
たぶん、朝から元だんな様が迎えに来るだろうと思う。
あいつは明け方帰ると思うから、鉢合わせはないとは思う。
けど、なんとなく。
なんとなくだけど、会いたくないわけじゃないけど・・・。
会い辛い。
つい「クラス会」なんて言ってしまったけど。
かなり、苦しい嘘だと、自分でも思うけど。
ついちゃったものは、仕方ないと思った。
子供たちに久しぶりに会う前日に。
あいつと一緒にいるのも、おかしな気がした。
前の、ライラ預かったときのような。
元だんな様の怒りに触れる事をしたくなかった。
別に、怒ったりしないかもしれないんだけど。
半年以上ぶりに、子供たち3人と会えるんだから。
せっかく、ここまで来たのに。
それを、やっぱり壊したくない。
壊すもとになりそうな事を、したくない。
そんな、気持ちだった。
あのとき。
あたしは、あいつを選んで、子供を諦めて。
あいつだけの手を掴んで、信じて行こうと決めたのに。
こんなに簡単に、嘘をついて。
素直に話せば、分かってくれるかもしれない事なのに。
あたしは、言えないまま、こうして、嘘をついてしまう。
あいつはいつだって優しいし。
いつだって、あたしを一番に考えてくれている。
たぶん、あいつはこう言うとき、嘘なんか付かないで。
ちゃんと、あたしに説明してくれるんだと思う。
あたしが納得するまで、話してくれるんだと思う。
そう言う、人。
1年以上前から、ずっとそう言う人。
何も、あいつ自身変わってないのに。
あたしは、たった半年で・・・。
もしかしたら、この数週間でかな。
変わってしまったと、思う。
生活感が出てくると、好きだと言う気持ちが変わるからとか。
相手が変わるから、だとか。
そんな風に考えてたけど。
あたし自身が、一番変わってしまっている。
もしかしたら。
いつだって、何より先に、あたしが変わってしまっているのかもしれない。
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