2003年02月28日(金) |
社会人初のプレゼント |
夕方、仕事中。
「今日の仕事は終わりましたー。後片したりするから、そっちにつくのは9時くらいかな」
ってメールが来た。
嬉しい。
本当に来れるんだね。
あたしも頑張って仕事を終わらせる。
で、家に帰って、支度。
でも、支度しつつも「また来れなくなったらどうしよう」って思ったりする。
大丈夫だよね・・・。
不安・・・とはまた違った、心配のような気持ちで支度する。
だから。
「今出ました」
ってメールが来た時は、本当に安堵感。
「もう○○まで来たよ」
あ、後20分くらいだーって凄く嬉しくなった。
九時ちょっと前。
「ついたよ」
ってメール。
うちの前に車を停めて、あたしの車にあいつが乗り込む。
久しぶりな気がする。
でも、先週会ったんだから、一週間振りなだけなんだよね。
「久しぶりー」
「あれ?髪切った?」
「は?」
マジで切ってない。
何を言ってるの、彼は?
「何か違うよ、前髪切ったでしょ?」
「あー、前髪ね。火曜日に切ったよ、でも1センチ弱くらいだよー」
「何かね、違うって思ったもん」
「すごいね、ミリ単位で分かるんだ?」
「そりゃ、りりかマニアなので(笑)」
「何それ(笑)」
「りりかの事なら、何でも分かっちゃうんだぁ」
「はいはい。で、どこ行く?」
「ラブホー!」
「初っ端からですか?てかマジで?」
「嘘嘘。えっとね、ひなちゃん(あたしの妹)のとこでしょー。あと、今日初任給入った。だから、親父とお袋とばあちゃんにプレゼント買ってあげたいから、一緒に選んで」
「そーなんだ?うん、いいよ!」
妹の働いているレストランに行く。
けど、九時半近いのに満席な上にウェイティングも出てるので、諦める。
「残念ー」
「ま、来月Hが学校の用事で来るとき、ひなが休み取ったって言ってたよ。三人で食事しようって」
「そか、ならそれでいっかー」
「お腹空いているなら、ほか行く?」
「ううん、空いてないからいらない。じゃ、買い物行こうよ」
深夜までやっているディスカウント店に行く。
親父にはお酒って決めてあるんだーってあいつが言う。
問題はお母さんとおばあちゃん。
二人で悩む。
狭い店内を、何度も何度も行ったり来たり。
けど、その狭い中、さりげなくあいつが手をつないでくれてる。
「りりか、こっちこっち」って、あたしの手を握る。
「あ、本当に今、一緒にいるんだな」
って、こんな事で実感しちゃう。
こんな事で涙目になっちゃう。
相当・・・寂しかったのね、あたしは。
お母さんとおばあちゃんには、ジャケットを買いました。
「喜んでくれるといいね」
「うん」
なんとなくね、二人でゆっくりしたかったから。
大きいお風呂に二人で入るのもいいなぁって思ったし。
お茶とお菓子を買って、ラブホへ行く。
あたし、28年間生きてきて、自分の運転でラブホに行くのなんか、初めて・・・。
あたしの職場に近いところだったし、ちょっとドキドキした。
部屋に入って、この間、ファミレスはしごの時書いた手紙を渡す。
あいつはいっつも、あたしの目の前で読みたがる。
恥ずかしいから嫌だって言っても、読みたがるから・・・困る。
結局、また取り返してカバンにしまう。
「あ、俺の車に忘れ物して来ちゃった」
あいつがいきなり言い出す。
「何??」
「りりかにプレゼント!」
「え?」
「来る途中のパーキングで買ったんだー。キティちゃんの大きめのキーホルダー。俺見た事ないから、たぶんりりか持ってないと思うやつ」
こんな感じのやつなんだよ、ってあいつが説明してくれて。
あたしも、持ってないかもー、って答える。
嬉しい。
なんかね、プレゼントされた事が嬉しいんじゃないの。
そうやって、あたしが持ってなさそうだからって買ってくれる、あいつの気持ちが嬉しいの。
あいつは、朝四時に出るって言う。
明日も六時半から仕事だからって。
だから、早く寝かさなきゃって思うけど、いっぱい話したいなぁって思う。
でも、ここは我慢しなきゃね。
一緒にいられるだけで、大満足なんだから、今はホントに。
12時半くらいに、あたしを抱きしめたまま、あいつは眠りました。
あたしは、しばらく天井とか見あげてて。
いつもみたいに、手を握る。
あいつがあたしを抱きしめているから、あたしの胸のあたりに、あいつの手があって。
その手を、ぎゅって握る。
寝てる間に、離れませんように。。。って思う。
壊したくないんだ。
こういう時間が。
ずっとずっと続いて欲しいって思う。
寝る前に。
あいつが何度も何度も、聞く。
「りりか、愛してる?」
「うん、愛してるよ」
「どれくらい?」
「たくさんだよ、いっぱいだよ」
あたしは、ちょっと泣きそうになりながら、言う。
「りりか、俺も同じだよ。でも俺の方が、りりかよりいっぱいだけどね。1年1ヶ月目、おめでとう!これからも、よろしくね」
もう、そんなに長い事、一緒にいるんだ・・・不思議。
馴れ合ったりするどころか、ずっと成長し続けてる。
あたしたちの、気持ちは。
どこまで、行くんだろう。
あたしたちの、未来は。
どこまで続くんだろう?
朝、四時。
あいつは、帰って行った。
あたしに、軽くキスとキティちゃんのキーホルダーを渡して。
「次会うまで寂しがらないでね」
頭をなでられて。
あたしは、子供みたいに、膨れる。
本当は、見透かされてて、嫌なんだよね。
だから、言い返す。
「寂しくなんか、ならないもん。」
嘘だけど。
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