毎晩、電話が掛かってくる。
携帯だし、電話代も高くついちゃうから・・・って、あたしが言っても。
「気にしないで。今は声を聞かせることくらいしか、りりかを元気にさせる方法がないんだから」
って言われる。
一回に二時間近く話す。
だから、あたしから今日は電話した。
そしたら。
友達が来てて。
その友達が、よくしゃべる人で。
あたしが「友達来ているなら、いいよ」って言っても、後ろから「気にしないでくださいー」とか大声で言ってる。
あいつの友達には、一度だけ、一人だけ会った事がある。
凄く緊張した事を覚えてる。
まだ、離婚前の話。
今日、遊びに来ている友達じゃない。
だから、あたしは初対面?対面じゃないか。
あいつが、お風呂に入ってくるって言うから切ろうと思ったら。
「変わりに話してて。15分もあれば出てくるよ」
って言われて、いきなり替わられても・・・ねぇ。
「はじめまして・・・○○りりかです」
「はじめましてー。○○です。噂はいろいろと聞いてますー。俺ら、小学校からの付き合いなんですよー」
とか言う話から始まって。
「この部屋(あいつの部屋)、りりかさんの写真が三枚も飾ってある上に、あいつ財布の中にまで、写真入れて持ち歩いてるんですよー」
・・・。
恥ずかしい・・・。
昔あげた、弟のチェキで取ったあの写真だな・・・。
「恥ずかしいなぁ・・・」
「いやいや、自信持ってください♪」
「自信なんか、ないですよー・・・」
マジで、大照れのあたしに、その友達Sさんは、こんな話をしだした。
昔のあいつは、とにかくだらしなかったんです。
女に対してって意味で。
飾り物感覚?って感じで。
俺ら友達に、「今、告ってる女と付き合った暁には、1ヵ月後に振るから」とか最悪な事言ったり。
彼女が具合悪くて、精神的にも凹んでて、会いたいって言われて、面倒だけど行ってやるかって思ったけど、パチンコ屋の新装開店ののぼりを見ちゃったら、そっち行っちゃって振られた、とか。
彼女が生理だから、どうせ会っても出来ないんだし、面倒だから会わないとか。
とにかくー、だらしなかったんですよ。
もう呆れてねー。
お前、いつか刺されるよ?って言ってましたよ。
本当にこいつは、誰かを好きになったり出来るのか?って心配半分でね。
実は、俺は、かなり前から、聞いてたんです。
りりかさんの事は。
告白しようかなぁってあたりからですね。
俺は、すいませんが、やめとけって言いました。
今度は人妻を相手にいい加減な事するの?って。
最初は思ったんです。
「そんなんじゃねーよ」とか、言ってたけど、その前までが、だらしないやつでしたからねー、信じられなくて(笑)
けど、りりかさんに相手にされなかったでしょ?
正月に帰ってきたあいつは、とにかく荒れててねぇ。
お、珍しい。って思ったんです、俺らみんな。
「いい女紹介してくれない?」って荒れながら言われたりしたし(笑)
びっくりしたのは、秋位に好きなんだーって聞いて、正月になってもまだ好きだった事ですね。
しかも、片思いってやつですか?
にあわねぇーって言ってやりました(笑)
その後は、なんだか、今までと違うぞ?ってみんな思いましたね。
だらしなかったHは、どこ行ったの?って感じです。
だからね、りりかさん。
自信持っていいですよ。
りりかさんが知らない、昔のHは、もういないです。
俺らが知ってる、昔のHは、今は全く存在してないです。
今度飲みましょう!
んで、騒ぎましょうよ、一緒に。
「ですね。楽しみにしてます」
聞きたくなかったような、なんていうか。
でも、聞けてよかったと言うか。
確かに、初めて会ったころのあいつは、ちゃらちゃらしてる今時の大学生って印象だったから、うなずける。
遊んでいそうだなぁって凄く思ったし。
お風呂上がりのあいつに、あたしからの言葉は。
「ねぇねぇ、あたしの事は、いつ振るってみんなに言ってるの?(笑)」
「はぁ?」
「ほらほら、告っていついつまでに振るってやつ、公言してないの?(笑)」
「・・・。あの、なんのお話で?」
「自分で思い出してくださいー(笑)」
「ちょっと待っててね・・・。・・・Sくん?何話したの?」
後ろで、「そんな昔の話するなよー」とか言ってる声がした。
しかも、焦ってる声で(笑)
「あのね、りりかさん。昔は昔。今は、ほんっとうに、りりかさんだけだからね!てか、俺の中で特別なの!」
「あ・・・」
「あ?」
「今、りりかさんっていった♪」
「あ・・・」
「罰ゲームなんだっけ?確かー、くすぐり続けられるんだよねー?しかも、二回言ったよね♪14日ねー」
「ちょ、ちょっと待って!」
「待てません」
「マジでー?」
「うん、ごめん、約束だから♪」
「・・・分かった。受けて立つ」
特別ね。
そっか、あたしもそうだよ。
ずっと、これからも特別なまま、好きでいるから。
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