march forward.
りりかの独り言。

2002年09月17日(火) 病院にて

今日、婦人科の検診の日だった。

朝から行きたくなくて、あいつがモーニングメールして起こしてくれたんだけど、「行きたくない」って返したりしてた。


何で、行きたくないなんて言うの?



だって、生理来て無いから・・・

どうせ、注射だもん・・・




ライラを保育園に送る。

このまんま、家に帰って寝ちゃおう。

それで、あいつには適当な事言って、行った事にしちゃおう。






自宅の駐車場に付いたら、見覚えのある車。



「なーに、家に戻って来てんの?予約は九時からでしょ?もう15分しかないじゃん」

「なんで、ここにいるの?」

「絶対に、家に帰ってきて寝ようとか思っているだろうなぁって思ってね。見張ってた(笑)」

「後つけてたの???」

「違うよ、九時までここで待っているつもりだったんだよ。ライラ送って、真っ直ぐ病院に行くなら、九時まで待っても来ないでしょ。それで、来なかったら俺も病院に行こうと思ってた。けど、りりかさん、やっぱり帰って来るんだもん、がっかりだよー」




見透かされてる・・・

時間を潰してから帰ってくればよかった・・・

あ、でも、病院に行くつもりだったみたいだし、あたしが嘘ついて「行ってきた」なんて言ったら絶対に怒るだろうから、逆によかったか。



「行きたくないんだよ・・・」

「だめ!早く乗って!」

「やだー。やだやだ、やだって!!!」

「うるさい!乗るの!!」



無理矢理、あいつの車に押し込められる。

あたしも、観念して、おとなしくした。

これ以上嫌がったら、マジで切れるかもしれないしなぁ・・・

せっかく、こうして来てくれているんだし。




九時を過ぎたせいか、いつも通りか、二時間半待たされた。

でも、あいつと一緒に話したりしていたから、時間が過ぎるのが早かった気がした。

待っている途中、生まれて1ヶ月くらいの赤ちゃんを見た。

検診かな。



「かわいいね」

あたしが思わず声に出して言ってしまった。

あたしは、無意識に自分のおなかに手をあててた。

ホント、無意識に。


そしたら、赤ちゃんのおばあさんと見られる人が、話しかけて来た。



「初孫なんです」

「そうですか、おめでとうございます」

「ありがとうございます。何ヶ月ですか?」



あたしとあいつを夫婦と思ったんだろう。

夫婦で妊婦検診に来ていると思ったんだろう。




違います・・・

婦人科の検診なんです。

無排卵で。



なんて、言えるはずもなく。



「今、3ヶ月です」

なんて、嘘をついてしまった。

あいつを見たら、あたしを見て、ちょっと笑った。

その笑い方が、困ったような感じとか、嫌な感じじゃなくて。

自然に。

微笑んだって言う感じだった。





「じゃー、大事にしないといけませんね」

「はい・・・」

「元気な赤ちゃんが生まれますように」


おばあさんが、笑顔で言ってくれる。

そして、あたしのお腹をさすってくれた。


あたしは、泣きそうになって。

会釈だけした。



なんで、泣きそうになったんだろう?



嘘ついたから?

子供なんかいないから?

子供なんか出来ないから?

夫婦と見られた事が嬉しかったから?



今もよく分からない。






検診の結果、やっぱり無排卵状態は続いていて、注射をされた。

明日は、副作用を耐えながら、仕事かぁ。




あたしを送っていくとき、あいつが言った。


「さっきの。あのおばあさんとの会話。あれが、本当になったら、いいね」






わかんない。

本当になったらいいのか、悪いのか。

だって、あたしはもう妊娠なんか出来ない気がする。

何で、そう思うの?って聞かれたら分からないけど。



罰、なのかも知れない。



いろいろなもの、人の心を。


壊したり、傷つけたりした、代償なのかもしれない。


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