march forward.
りりかの独り言。

2002年06月07日(金) ただいま

仕事中からうきうきしてた。

もう、早く終わらせて、今日は早く帰っていいですか?とわがままいっちゃうくらい。

夕飯のメニューは何にしよう?

あいつのリクエストのから揚げにしてー。

買い物も行かなきゃ。


いつも以上にハイテンションなあたし。

同僚の主婦友達も「まったく・・・顔がにやけてるよ」なんて、からかう。



仕事を終え、家族の夕飯を作って、すぐでかける。

彼の家に行く前に夕飯の買い物とケーキを買う。

ドキドキした。

久しぶりに会える事で。


「今から向かいます」

て、メールしたら、

「掃除も完璧。早くきてください。門限に遅刻したら、父親みたいに怒ります!でも、安全運転で」

て、返って来た。



駐車場に車を止めると、あいつが待っててくれた。

荷物を持ってくれて、二人であいつの部屋に向かう。

「今日の仕事は疲れました?」

「ううん。いつもより楽だったようなくらい」

「よかった。疲れてたら、悪いもん」



玄関を開けて、あいつの部屋の香りがした。

何の香りか分からないけど。

あたしが最初に来たときから、その香りは変わらない。

でも、最近、その香りに慣れたのか、余り意識していなかったけど。

今日は久しぶりに来たから、凄くその香りを感じた。


「ただいま」


「お帰りなさい」





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その言葉は飲み込んで。

あいつがよしよししてくれるのに、身を任せて。


あたしが帰って来る場所がもうひとつある。

あたしを待っててくれる人がいる場所がもうひとつある。

そう思ったりした。



世間的にはこういうの、二重生活とかいうんだろうなぁ。

あたしは、こいつの事好きだけど。

こいつといると落ち着くし、安心も出来るけど。

でも、本当のあたしの帰る場所、ここじゃない。

知ってる。

あたしの本当の居場所は、ここじゃない。


あの、だんな様と。子供たちが待つ家。


ふと、我にかえる。


あたしは、ただいま!なんて言ったけど。

あいつは、お帰り!なんて言ったけど。


こういうのって、凄く不自然だ。ものすごく。



自宅で家族に夕飯を作って。

あいつの家であいつに夕飯を作る。

自宅で喧嘩して暴れて騒ぐ子供をしかりながら作る夕飯。

あいつの家で台所に立っているのにちょっかいを出すあいつをしかりながら作る夕飯。


現実と。

非現実。


野球中継を見て、黙々と食べるだんな様に「どう?」ときくあたし。淡々と「うん。おいしい」と答えるだんな様。

この、ありきたりな会話をしている状況は現実。



じっとしていられなくて、何度も台所に来て、つまみ食いしながら、「うわ!めちゃくちゃおいしい」とかいうあいつ。

この、新婚さんみたいな状況は、非現実。




嬉しいけど。

悲しい。

喜んでいるのに。

切ない。


そんな思いが渦巻く。


あたしは、何をしているんだろう・・・?


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