忘れていた震え方で疼きだす。何があるというのだろう。今さら、この夜に。何もない。また朝が来るだけだ。発想は手詰まりで、いつも通りにやれば太刀打ちできる、どうということのないそんな明日が来る。それだけのはずだ。だけど体は忘れていなかった。ただ単純に「今日」でも「明日」でもない、二つの世界に横たわる闇の空隙のことを。私が「私」をやらなくていい。私が私ですらなくなる。星間物質のような時間だ。この眼や耳はすっかり忘れていたけれど、どうやら体の至る所で名もなき素地が覚えていたらしい。なんとなく、感電しているような状態。何がそんなに嬉しい? さあ、しらない。けれど確かに疼く。まるで一人で世界の全てに立ち向かうような莫迦らしさと尊大さ。返り討ちに遭うのが嬉しくて仕方がない? かもしれません。
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