私の名前は襖谷恵贈(Fusuma-Dany,K-zou)である。今は大阪府に住み、紅海でナポレオンフィッシュを生け捕りした時にガイドに激しく怒られたこと位しか覚えてはいない。 フスマ屋をやっていた訳ではない。私は大仕事をしなくてはならない。ポラロイドのような愛情だったのだ、私の全ては。薄く薄く研磨された心を、人並みかそれ以上に熱く、厚く、練り上げて完成させなくてはならない。 所詮はムコか、私はフトンを叩きながら独りごちた。町の外れの右側北あたりに、本物のふすま屋がある。脱税容疑で何度か傾きかけたのだが、ふすま屋の奥さんが、肉感的な婦人であり、胸元のあたりから熟れた梨の匂いがするのだ。 税務署のものは、ふすま屋婦人の、乳香にやられた。ふすま屋の奥さんは肉感的な肩や腕で私に度々、甘い吐息を吐きかけたものだが、私は意に介さず、店長とフトンの話をした。フスマを売れと言って婦人は乳を揺らして怒った。 店長は気さくな中年男で、紅海でダイビングするのが好きだった。 『紅海の魚は締まりがいいけんのう』と言っては釣りもせずに、それの店を回り、ぴったりフィットなコンドームを纏っては、珍棒を揮った。 彼は頼もしい男であり、私の師匠である。私は彼の手ほどきで紅海の青いダイブへ向かった。そして目的は易々と成し遂げられた。 だが私は店の女に無ゴムで挿入し、禁止事項を幾発か破った。ナポレオンフィッシュと呼ばれていた巨躯の性女を勝手に生け捕りにし、店の黒騎士に散々にやられた。 異人に肋骨4本、左眼を破壊され、『ネバーカムァゲン、ミスターフスマダニ、ハハ』奴らはそう言って笑った。 私は愛について考えざるを得なかった。外で雷が鳴り続けている。雨が降るだろう。ザーーー。看護婦のいる店に行くので私は電話を入れた。40分で幾らだろうか。 (文責 マー) |
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