○賢者まーくん(ドラクエ3にて)  2003年08月01日(金)
03.07.15(Tue) ユウキ729

おれはとうとう賢者になってしまった。

ほかにどうするアテもなかったのだ。いや、これはあくまでおれや仲間の意思の総体として志向された最適の選択だとは、自分でも解っているのだが。


おれは最初まほうつかいとしてゆうしゃの一味に馳せ参じた。レヴェル1の頃は最大HPが11で、幾ら非力な職柄とは言え弱すぎで、メンバーの信頼を勝ち得るには時間を要した。ゆうしゃはストックとして別のまほうつかい(名;もょもと)を登録していた。しかしゆうしゃに連れて行かれた後
10分でホサれた。
残念なことに
レヴェル1で最大HPが9
しか無かった上に二回目の戦闘で

おおがらす5匹に突付かれてすぐ死んだ

のだ。「もょもと」は

棺桶に封入されたまま

ルイーダの酒場に引き取られた。棺桶には鋼鉄化魔法『○アストロン』の変種が掛かっているので腐敗問題は無いが、じきに

自分も棺桶のまま棄てられる

と思うとまおうバラモスの恐怖支配より遥かにおぞましい危機感に身を貫かれた。それ以来、死に掛けて頭の中の思考図面が緑色に変色する度に無断でやくそうを摂る等し、死によって存在破棄される事態を逃れてきた。
『あくのまおうハ"ラモス を たおし、 せかいにへいわ を もたらそう。』
等と、ゆうしゃは入れ替わりで現れたおれに、握手を求めてきた。その時、彼に随伴していた2名のせんし(名;ごふく、やいこ)は、動きが遅い、装備に金が掛かる、
かいしんの一撃がぶとうかより出にくい
という、理不尽なまでの正論によりそのうち2人ともホサれた。
このパーティは

セリエAのようだ

と思った。




今、おれは巨大な猿や蜂を相手に、魔法を唱え続ける毎日だ。転職後はレヴェルが1になるので、よく鍛えなければならない。遣り甲斐はある。成長も実感できる。回復援護系統の魔法も覚えられるから、キズを負ってもそうりょ(名;アラン)に回復魔法『○ホイミ』『○ベホイミ』をお願いしなくてよくなった。楽だ。そうりょアランは幻惑魔法

『○マヌーサ』を好んで乱発するような変態

だ。そのくせおれがみんなのためを思って防御硬化魔法『○スカラ』などを使ったりすると、

『いや、君、まあ、いいけど、・・・あーあ、今のは
○スカラ要らないって普通判るとこ、
MPムダにし、いやまあ、ね、うん』
などと、キーーー。きぶんわるい。おまえこないだ

くさりがま振りすぎて自分の後頭部3センチ切った

の、おれ見てたからな。なんか必死で『○ベホイミ』2発も後頭部に当てて出血止めてたけど。みたぞ。つまり、おれは彼があまり好きではない。だいたい、こいつはエ


あう(ズザー)。



うかつだった。おれは頭の中で盛り上がり過ぎて段差の無いところでこけた。道具袋を土で擦ったのでやくそうが土にまみれてぐちゃぐちゃになった。そうりょがわめいた。

『あーあ、君、
きみそれ何だ、
そのぐちゃぐちゃなのは何だ。

せきにんをとれ、とりたまえ』

おれは20ゴールドほど奴の顔面に投げ付けてやった。

バチーン。

チャリチャリチャリ。怒鳴った。やくそうやくそうって貴様ひとつ8円が本気で貴重や思うんやったら今すぐその金で3つ4つ買ってこいやコラァ! ガガー^! 

やくそうオラァ買ってこいやズガーーー!!!

おれは自分が
歴代賢者の中で最もあたま悪い
ように思い、はらが立ったのでそうりょをしばいた。そうりょはおっさんで
32歳中肉中背、皮肉屋で意思不明瞭
だ。昔から友達が少なかったに違いない。いらいらする。
そうりょアランもきれた、
くさりがまが飛んで来た。
避けるのが0.3秒遅れたら片目がカマで潰されていただろう。危ない奴だ、
おれは刃物は使わなかった、
そうりょは喧嘩のルールを破ったのだ。奴は半泣きで腰を折り、金を拾い集めだした。そうりょは泣き言を垂れていた。


『ぼくのほうが、かいふく魔法は、おおお、得意なんやぞ、や、

やくそうぐしゃぐしゃにしやがって、

やくそうは命のお数珠、 ェー、

ッァッ●バギマ!』

そうりょはいきなり空気断裂魔法『●バギマ』を唱えた。速かった。上体を前に曲げたまま両足の間から手先指先を振り回して魔法を発動した。おれはちびりそうになる。おい、そうりょアラン、てめえ
仲間の賢者が身内のバギマで失明する
のって
魔王軍よりえぐい
と思ったことはないのか?カーッ。1秒にも満たない間だったがおれは放心していた。ギャアア、グギャアアエ、
アギーーーーグウェエ"・

エギーエギた5・アガガー

悲鳴が背後で起こった。汚い黒群青色をした羽根猫キャットフライが3匹落ちた。汚そうなドス黒い血が草むらに散った。そうりょは泣き言を垂れつつも敵を認知していたのだ。さすが
レヴェル25は格が違う。
おれは転職したのでまだレヴェル14だ。ゆうしゃは黙って剣を収め、地でうごめくキャットバットの元に駆け寄り
手近な石で頭蓋を粉砕
した。硬い物が砕ける音がした。ゴキョ、とかグキャ、という音だ。
鼓膜や肺の裏側がむずがゆい
ような音だ。い"〜。
1ターンに1キャラ1回しか動けないのはうそだ。
スムーズにパーティ4人が勝つのは常時こういう戦い方をしているからで、モンスターにダメージ食らったように表示されていても実際は
仲間がきれて投げてきたゴールド
(直径3CM程度の硬貨)20枚分の怪我苦痛が
『アラン は 18のダメージを うけた!』等
と表記されるので。まおうバラモスを殺すのがたのしみである、サソリと蜂が合体した虫野郎ハンターフライが8匹飛んで来た、おれは『●ベギラマ』を唱えた。

刺された。

これは痛い。あかんもうあかん。

アナフィラキシーショックで死ぬ

かも知れん。あっぶとうかが鉄の爪に挟まったハンターフライの胴体を引き抜こうとして背中がお留守。おいそこのぶとうか、

延髄食われてるって、

おいはよ攻撃せえ、おい、あっHPが68も残ってるのに

なんか死んだ。<\h4>きびしいな、あかんかもしれん、まおうバラモス。あほ。






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