遺書

2004年08月31日(火) 虚空スニッパー

「うしろは、もう見えない」
 ちょっと後悔をして
「私はもう帰れないんだ。」

示した道は消えかけて、
消えかけた道をもう振り替えらない。
人の渦を通り抜けて、
天使が見えた時には新世界。

彼女の示したスケッチブック
イメージの中
廊下を走る
教室へ入る
そこから虚空を切り裂いて
弱弱しい羽で飛び立った

草花の上に落ちた
そこで耳を澄まして聞いていた
何も空に響いて途絶えた想い

手を開けば小さな羽が飛んでいった。
懐かしかった。
逃げるまで気づかなかった、あの場所。
暖かかった、もう二度と触れることはない光。

「うしろは、もう見えない」
 けっこう後悔をして
「私はもう帰れないんだ。」

泣きながら、彼女はよろめきながら
「ちくしょう…」
本音をポロっとこぼして、
自分で望んだ新世界を、
悔しそうに蹴り飛ばした。


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