琥珀色の時
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2004年01月14日(水) J・R・R・トールキン「指輪物語」

いやはやとんでもないものに嵌ってしまった。
なにげなく噂の映画「ロード・オブ・ザ・リング」を見てしまったのが最後、あの長い物語を読み終わり、「ホビットの冒険」も読まなきゃ状態になり、ついでと言うには長くて複雑すぎる「シリマリルの物語」まで、フルコースいただきました。

なによりも訳者が素晴らしい、瀬田 貞二さん(故人)完璧な日本語訳といえるのではないでしょうか(英語版を読んだ訳じゃないけど…)
主人公の一人、未来の王様アラゴルンの通り名レンジャーを野伏、足早く野を駆ける人なので付いたストライダーを馳夫と訳す術にコロリ。
これは好きずきなのだろうけれど、私はとても気に入ってます。

「ナルニア国物語」も瀬田 貞二の訳だったのを知らずに読んでいた。
朝びらき丸と名の付いた船とかが結構気に入っていたので、フロドの持つ剣スティングが「つらぬき丸」だなんてすごいセンスと思ってしまうわけです。

さて、あまりにも長い話なのでとても細部まで記憶できるわけもなく、読みたくなると「旅の仲間」上下「二つの塔」上下「王の帰還」上下「追補編」を図書館より借りてくることにした。
ネットサーフィンして指輪サイトを見て、また物語に戻るとサイトマスター皆さんの熱意がよく分かるんですね。皆さんの熱情でまた本もおもしろくなること請け合いです。

評論社から出ている本自体も文庫版やら、上記7冊セットものやら、全三巻の辞書のごとき本もある。
この厚い三巻ものは、うつくしいアラン・リーのイラストが全編に入っておりコレまた必読。
確か出版されたときには、「果てしなき物語(ネバー・エンディング・ストーリー)」の厚い本が出たときと前後していたと思う。
その時には本を開くこともなく、ただ読み通すのが難しい本という評判だけで敬遠していた。
きっと読んでも途中でリタイアしていたことであろう、映画のおかげ、PJ(監督ピーター・ジャクソン)さまさまである。
ファンタジー本はどこまで自分で空想できるかが勝負。若い頃はSFでもなんの苦なく読んでいたが、近頃はこうした他力がないとどっぷり浸れないのには苦笑である。
図書館の司書のかたも言ってらしたが、小さい頃にこの空想が出来ると本読みになれるとか、絵本から児童書までが大切なんだな。

肝心なストーリーは何しろ設定が特異であるから、作者の思うまま読むよりない。
神、エルフ、ドワーフ、ホビッツ、オーク、人間(馳夫のような長命人間も含む)が生きている世界を何千年にもわたって物語りするんだからね。
神様の作られた中つ国ではあるが、最初から悪しきものがずうっといるし、この神さん側の論理がいったいなんやねんとツッコミ入れたくなること多々あり。
まあ常に【神よあなたはどこにおられるのだ…】は人間の永遠の問いだし、試練の後に悪を自身の力で討ち滅ぼすのもお約束。
細かい設定、書き込みをしつつ、淡々と、ユーモアも交え長い物語は続いていく。
劇的なラストのあとも物語は続き、さらに「追補編」で各主人公のその後を知る。
オタクが喜ぶわけだ。
中つ国は人間社会になり、平和が続く…そう、あのすてきなエルフがいつまでもいたら、絶対人間と仲違いするから、西国へお帰りになって大正解かな(笑)


琥珀 |MAIL

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