琥珀色の時
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2003年02月07日(金) 坂東眞砂子「善魂宿」

一言でいえば坂東眞砂子はやっぱりいい。
最初に読んだ「蛇鏡」は途中で止めることができなく、夜更けまで読んで読了。
怖くて、久しぶりに悪い夢でも見そうで、寝付けなかった。

それからは発行順にどんどん読んだけれど、一度も裏切られたことがない。
大長編の「旅涯ての地」は途中でストップしたものの、「道祖土家の猿嫁」はクリア。

今回の「善魂宿」はあの猿嫁の系統なんだろうな。
山深い村に住む女。頃は明治のはじめ。
息子と二人でひっそりと大きな合掌造りの家に住まって、迷い込んだ旅人と話をする。
迷い込んだ旅人は、最初はこの二人と関わりのない人々で、自分が巡り会った不思議な話を土産代わり、宿賃代わりに話していく。

相変わらず各地の方言がうまい(と思う)私は新潟在なので、特に沼垂弁が面白かった。
一話が終わって、次の旅人の別な話と、続いていく話がだんだんこの親子の周辺に及んでくると…
どの章も面白く、最後には長編小説を読んでいるような、ラストにむかっての収束がすばらしい。

続いて「わたし」も読了。
著者の自伝的小説、思春期のおもいに共感できる。
ただし親の立場になるとちょっと辛いかも。

ところで『ばんどう』ですぐ変換できるのは板東だったので、うっかりしていたが著者は「坂東」、時々ミスってしまうのでした。


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