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2006年03月22日(水) 企業の隣人〜手を差し伸べられますか?

南の島の旅から帰ると、札幌はまた真っ白な雪が降り、冬に逆戻り。
どこか川端康成の心境。(笑)

さて、旅の終わりのフライトでの出来事から思ったことをひとつ。

羽田で乗り換えの便に、娘と二人ですでに席についていた私は、ふと見上げると、にやにやと笑っている背の高い三人ほどのビジネスマン。

あら、何かしら?と思ったら、その前方(私達の席の横)に、155センチほどの身長の女性が、荷物を棚に押し上げられなくて、ぴょこんぴょこんと飛び上がっている。
私が真ん中に座っている三人掛けの席の隣に座る予定の女性のようだし、彼女が諦める気配もないし、もっといけないのは、ビジネスコートを着た背の高い三人が立ちはだかっている為に、CAがその様子に気付かない。

結局、私が席を立ち上がって、ちょっと手助けしたら、ほんの3秒ほどで荷物は無事、棚に収められた。
だが、その後がいけなかった。

「後でやりゃいいのに。」とその三人のビジネスマンのうちの一人がつぶやいた。

はてさて、にやにや笑っている暇があったら、そのエレガントなビジネスコートを羽織った185cmほどの体躯から伸びている、ブ○ガリだかロ○ックスだかの時計をした手(ここ大事。笑)を、彼女のためにコートと同様エレガントに差し伸べていたら、私がわざわざ席の真ん中から立ち上がる必要もなく、ほんの2秒もあれば解決していたはずである。

相手の立場を思いやれないどころか、臨機応変に対応することもできないビジネスマンが、部下のしでかした突拍子もないアクシデントをフォローしたり(こんな上司のフォローが足りない為に悩んでいる若い人達は多いはずだ)、ユーザビリティを考えた安全な製品が作れるだろうか。

落ち着いて振り返ってみると、会社の経費を使って乗っている飛行機の中を、彼らは、どうも社内と勘違いしているような気がする。

だから「利害関係の無いように思える人」には「手を差し伸べない」。
そんな小さな事から、偽装やら粉飾やら、真っ黒なエトセトラが生まれる。

そもそも企業倫理や企業の良心というのは、もっと崇高なものだったはずだ。
実は企業の倫理と良心は、団体ではなくて結局はそれぞれの個人の肩にかかっている。

定年退職して会社を離れ、初めて「俺はたった一人の普通の人間だった」と気付く前に、どうか「利害関係の無いように思える人」(実はそれが企業の隣人)に、今からでもいいから手を差し伸べて欲しい。


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izumi [HOMEPAGE]

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