TWILIGHT DIARY
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2004年01月12日(月) 音の霊力の物語。。

今日私は休みであったが、家人約一名が体調優れずで、どこにも出かけなかった。

それで結局、何をしていたかというと、
残ったお正月用の冷凍海老でグラタンを作ったり、
今市子さんの「百鬼夜行抄」を読んだり、
書き物をしたりという静かな一日であった。

締めくくりに、いま聴いているのはビルスマの無伴奏チェロで、
弾いているのは約350年前のバロックチェロ。
ビルスマの息を吸う音、吐く音まで聴こえる。

弾いているのはビルスマ一人で、楽器もそのバロックチェロ一つなのだが、
ごくたまに、多分、左手が移動する時にこすられる弦の音から、
水のせせらぎのような音や、
小鳥の囀りや女性のお喋りのようなざわめきが聴こえてくる瞬間があって、
それは弦の演奏の結果なのだろうが、
音符にない音までバッハは計算していたのかと思えるほど、
様々な音の色彩に彩られた森の中で弾いているように聴こえる。
不思議な力を持つ楽器というのは存在するのかも知れない。

ドパルデューの映画で、ビオラダガンバをめぐる物語があり、
鬱蒼とした森の中の小屋で、ドパルデューの師匠がガンバを弾くと、
その向かいには、もうこの世にはいないはずの師匠の美しい奥さんが、
黙って演奏を聴いている場面がある。
それは、さながら壇ノ浦を語る琵琶法師の周りに、
もうこの世のものではない平家の人達が聴きに集まるのと、何ら変わりがない。

音の霊力の物語は東西問わずか。


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izumi [HOMEPAGE]

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