TWILIGHT DIARY
|
music,art,book,food,fashion,and nature etc.etc...
|
|
深夜、一瞬だけ、ちらっと白いものが視線をよぎった。 その瞬間、頬の上で何か冷たいものが融けた感触がしたように思う。
多分、観測はされていない(旭川では初雪が観測された)とは思うが、 その冷たく融けたものはまぎれもなく初雪である。 道路を歩いている人々は、その瞬間、目を空に向け、 「あ。雪だ」と口々にささやいた。
平地での厳密な初雪の定義を知らないので、 どれくらい降るとそれは初雪と観測されるのかがわからないが、 確かにその時は皆、初雪と感じたと思う。
初雪の降る頃を振り返ると、少なからず、悲しい思い出が多い。 めぐり合わせだろうか。
祖父が亡くなったという電話の知らせを受けた翌朝、 暗い気持ちで玄関を出ると、川端康成じゃないが、 そこは紛れもなく何一つ曇りのない、真っ白な雪景色だった。
こちらの気持ちは暗く澱んで沈みきっているのに、 式に向かう為に乗り込んだ列車の窓の外は、 どこまでも続く美しい雪景色で、その純粋な白さが、 前の晩泣いた為に充血した目には眩しすぎて、なおさら悲しかった。
さて、今夜の私的な初雪は、そう悪い事もなく、 新調した革手袋の匂いと共に、結構、良い瞬間であった。
|
|
|