あの頃は。
きっと終わりなんて見えなくて。 ずっと続いていくものだと思っていた。
永遠がなんだか知らないけれど。 きっと2人は永遠になると思っていた。
振り返るとあの時間は。 鮮やか過ぎて心に突き刺さる。 痛みに目がくらんでよく見えなくなる。 そんな二度と戻らない時間。
全力で人を愛していた。 その腕に抱かれるなら。 その瞳を独占できるなら。 すべて失ってもいいと本気で思っていた。
そうるとあたし。
終着点は。 それぞれがパートナーをみつけた地点。
あたしが先に逃げた。 ダンナ様との生活を選んだ。
そして風の便りに聞いた。 そうるもパートナーをみつけたらしい。
お互い人妻だねなんて笑って。 あの頃よりたぶんずっと上手に嘘をついて笑って。 心の中で涙を流した。
でもその涙は。 あの頃みたいな熱さは帯びていなくて。 ぞっとするほど冷たい涙だった。
ああ。そうか。 もうあの頃とは違うんだ。
ねぇそうる。 あたしたちは。
ここにたどり着いたんだね。 ここにたどり着くあの道だったんだね。
知らなかったよ。 あんたも知らなかったよね。
いつから決まっていたことだったんだろう。
考えても仕方ないことを考えてしまうよ。 あたしは今が幸せで。 たぶんあんたも同じように幸せで。
あの時間はなんだったんだろうね。 あの時見えていた永遠はなんだったんだろうね。
ねぇそうる。 不思議なんだよ。
嬉しいのに悲しいんだ。 悲しいのにほっとしてるんだよ。
あんたはどんな気持ちでいるんだろう。
もう聞けないけどね。 聞きたくなってしまうんだよ。
ごめんね。そうる。
おめでと。そうる。
愛してたよ。
ほんとは今でも愛してるよ。
・・・嘘だよ。
もう愛なんかじゃないよ。
うまく言えないけど。
もうとっくの昔に愛を越えてしまったよ。
そうる。そうる。そうる。
あんたに会いたい。
あんたに触れたい。 |