そばがきを読む

2014年05月07日(水) 前田武彦

そばとヨットと大晦日
前田武彦
新そば No49
北白川書房
1981/01/10

掲題書には著者の「年越しそば」についての想いが綴られている。

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 私が、そばは東京のそば屋さんで食うのが一番うまいと言えば、相手は自分もそば好きでは負けないと前置きして、信州が何といっても日本一だと反論する。そんな事はない。出雲のそばこそ天下一品だと横から口を入れる人もあって、キャビンの中では時ならぬそば談義の花が咲く。
 これも大晦日ならではの雰囲気である。(中略)

 日本の味覚の中で最も日本的なのはそばの味、日本の行事の中で今なお広く行われるのが年越しのそれである。
 ヨットハーバーやスキー場、或は海外旅行先でもそばを食べる。それが私たち日本人なのだ。』


(新そば No141 2011/11/20発行に追悼/再録分より)

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 年越しそば、蕎麦が主流でない地方で育った私には支那蕎麦に胡椒のかかったものが普通だった。当時胡椒などと言うものは普通の食卓に上るものではなく、一年に一度味わう胡椒の香りと風味が今でも思い出される。



上掲書筆者紹介
前田武彦
1929年東京生まれ。2011年8月5日逝去。享年82。NHKテレビ開局とともに放送作家になり「シャボン玉ホリデー」など、人気番組の台本を手がける。タレント、司会者としても一世を風靡し「夜のヒットスタジオ」「ゲバゲバ90分」などで活躍した。


Wikipedia
前田 武彦(まえだ たけひこ、1929年4月3日 - 2011年8月5日)は、日本の男性タレント、放送作家、司会者。株式会社三桂所属。

1960年代、それまで台本を読み上げる形式が一般的だった放送司会に「フリートーク」、「楽屋オチ」、「世間話」といった手法を持ち込み、最盛期にはその毒舌と絶妙な話術から「フリートークの天才」と呼ばれ、タレント・大橋巨泉と並び称された。
思想的には左派であり、自らが司会するテレビ番組で日本共産党の候補が選挙で当選したことを礼賛したことから以後10年近くのあいだテレビ業界から干されたこともある。武彦は司会や脚本家のほか、作詞家として、平井和正原作のアニメ『エイトマン』の主題歌の作詞(萩原哲晶作曲・克美しげる歌唱)もしている。


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