木の芽通り
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たてよこに富士伸びてゐる夏野かな 桂 信子 『樹影』所収
「富士」と「夏野」とが取合さっただけで受け入れがたかったが、 作者の背景に触れると、そうでもなくなる。 「たてのよこに富士」が伸びるとするところに、 作者の強い意志を思う。
背景を知ること、どうなんだろ。
花火師のともさぬ舟とすれ違ふ TB 確かにそこに人の生を感じるが、1つのパターンではないだろうか。
五十音順にプールに放り込む KS
「五十音順」を詩語として受け入れられるかどうか。ただ、現実的ではない。
秋めくと六波羅蜜寺より書状 KA
「秋」と「書」だけですでに拒否感。だがこれが今回の最高点。 固有名詞が効いているという。
思いっきり1週間経ってしまった。 早いなあ。
さて、東京句会。
火事跡に彳つ商標のナポレオン Y 「商標のナポレオン」という持って来方、面白くはある。 だがやはり、ものの確定がなされない、景が結ばれない弱さがあるだろう。 想像に慣れている鑑賞で、ようやくわかるという感じ。 これを省略といってよいかは、疑問である。 畳替かまぼこ板の出てきたる T この思い切りは自分にほしいところだ。 「かまぼこ板」の蓋然性の問題か。 初夢の斧がぎらぎらして困る K これも結局のところ、上の「かまぼこ板」同様「斧」である 意味であろう。 「困る」と言い切るのがこの作者の方法であろうが、 私は、しない。
初夢のやをら空気の抜けはじむ F 誉められていたが、「やをら」がなんとも古臭い。 このような句ばかり作っていても仕方ないし。 う〜ん、厳しい!
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