活字中毒のワタシの日記

2016年08月05日(金) 石井てる美『私がマッキンゼーを辞めた理由』★★★★☆

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石井てる美『私がマッキンゼーを辞めた理由

背中を押してくれる一冊だな、と思いました。

自分で自分の背中を押した石井さんから、そうか、してもしなくてもいい、大切なのは自分で決めること、というのを教わりました。

心に残ったところ。

マッキンゼーの特徴。
「何か無理難題が降りかかってきても、できない理由を並べるのではなく、まずは『できる』ありきで考え、そのためにはあと何が必要か考える、という前のめりのスタンスなのです。」(p50)

「なので、先ほども言いましたが、マッキンゼーではネガティブな表現はできるだけ使わないようにします。たとえば、『デメリット』『短所』『欠点』ではなく『チャレンジ』『克服すべき課題』『成長すべき点』などといった具合です。『できる』を前提にして、残りの課題は超えられるチャレンジだという未来志向でものを考えるのです。」(p50)

「もしマッキンゼーに入社するときの2008年4月の自分に一つ伝えられるとしたら、『死ぬほど鈍感であれ』です。」(p51)

それほどプレッシャーの中で、打たれ強さが必要だ、と。

「ビジネスの世界にそもそも『絶対』は存在しません。そんなことを追求していたら何も動けません。なので、まずは強引にでも仮説を立てて、今でき得るベストを尽くして仮説の精度を高め、ブレずに、自信を持って推し進めるしかないのです。」(p54)

コンサルとお笑いに共通する要素。根拠がなくても、自信を持ち、堂々と振舞う。でなければ伝わらない。その堂々としたさまが人を動かす。

トリノオリンピックを観戦したときのことを振り返って。
「この時、『またいつかでいいや』は無いなと心底思いました。『いつか』というやる気のない言葉を口にしているようでは永遠に行動には移さないものです。」(p129)

仕事を続ける三つの条件。
好きかどうか。
人より得意か。
その先に目標があるか。

「”手放すもの”の大きさだけ、新たに手に入れられる喜びがあると感じています。」(p156)

決断ができず迷う時は。
「まずは一歩踏み出してみて、違ったと思えば引き返せばいいだけのことです。二度と取り戻せないものなんて、命以外にはほとんどありません。」(p160)

「『マッキンゼーを辞めるなんてもったいない』と何度言われてきたか分かりませんが、いくら世間の評価が高くても自分にとって不要なものを捨てるのはもったいないことでもなんでもないのです。そんなことより、一度の人生でやりたいこともやらずに死んでいくことの方が、よっぽどもったいない。」(p167)

「来年生きている保証だってどこにもないのに、未来のことをあれこれ悩んだって仕方がない。何も考えないのも問題ですが、未来のことを心配しすぎて、思い通りに身動きがとれなくなるなんて本当にもったいない話です。」(p179)

「私たちには日々、現状維持バイアスがかかっています。誰にとっても昨日と同じ今日が続く方がラクだし、それでも日々は顔色を変えず穏やかに過ぎていきます。そういう人生を送りたいという人もいます。
 でも、『何かを変えたい』と思ったら、多少のリスクを取ってでも行動しないといけません。」(p179)

「何かをやることがリスクだという気持ちは分かりますが、未来がこうなればいいのにな、という理想がある人にとっては、何もしない方がリスクです。挑戦しない間にも、刻々と時間は流れていって、人生は終わりを迎えてしまうかもしれません。」(p179)

失敗の捉え方も、選べる。
「他人から見たら『失敗』と映るかもしれません。そんなときは、
『やってみたけど、ダメだった。やめる』
と言うのではなく、マッキンゼー風に、
『検証したけど、仮説がズレていた。修正する』
とキリッと言ってみましょう。なんだか一気に失敗の臭いが消え去りませんか。さすがザ・ポジティブのマッキンゼーです。」(p181)

ただしい決断なんて、存在しない。
「大事なのは決断なのではなく、決断した後どうするかだ、ということです。」(p182)

「決断そのものには正解も不正解もありません。どんな選択もそのあと自分で正解にしていけばいいのです。」(p183)

”And most important, have courage to follow your heart and intuition. They somehow know what you truly want to become.”
スティーブ・ジョブズの言葉。

わたしは、一人の女性としての石井てる美さんのことが好きだし、芸人石井てる美も大好きです(^_^)

石井てる美『私がマッキンゼーを辞めた理由



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2016年08月01日(月) 森博嗣『相田家のグッドバイ』★★★☆☆


森博嗣『相田家のグッドバイ

『すべてがFになる』以来の森博嗣さん。

心に残ったところ。

「親孝行という言葉があるけれど、それは親の面倒を見ることではなく、人間として成長し、立派になり、親の生き方を真似つつ、自分の人生を歩むことだ。それを、紀彦はこの歳になってようやくはっきりとわかった。息子や娘になにかをしてもらいたいとは、これっぽっちも思わない。ただ、彼らは彼らの人生を一所懸命に生きてくれること、それだけを願う、それが親として一番嬉しいことなのである。」(p173)

「結局のところ、人間が一人生きていることなんて、本当にちっぽけなものなのだ。自分に意識があるうちは、自分が考えたこと、やっていることに意味があると解釈をする。その解釈が既に自己満足でしかない。自然の視点から見れば、なにも変わらない。相変わらず季節は移り変わり、毎年雑草が伸びて、また枯れていく。ときどき嵐になったり、地面が揺れたりするけれど、地球の寿命や太陽系の運行に比べれば、ゴザ範囲のさらに何桁も小さい。」(p192)

「無駄に生きるというのは、つまりなにもしないことだ。なにもしないというのは、なにも作り出さない、ということだろう。それでは、外側から見れば死んでいるのと同じ、そこにその人間がいないのと同じことになる。」(p193-194)

森博嗣『相田家のグッドバイ



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2016年07月31日(日) 高野和明『幽霊人命救助隊』★★★★☆


高野和明 『幽霊人命救助隊

久々に読んだ高野和明さんの小説。

こころに残ったところ。

「人と人との結びつき、心身の健康、そして経済。この三拍子がそろっていれば、誰も自殺なんかしなくなるのではないかと裕一は考えた。逆に言うと、どれか一つが傷ついた途端、人の心は試されることになる。この世を好きなままでいられますか、と、」(p492)

借金苦が恐ろしい理由はこの三つを一度になくすからだ、とも。
わたしの身近にも心当たりがありますが、その立場を想像するだけで「絶望」の二文字が容易に浮かんできます。
実際にどれほどの絶望なのか、苦悩があるのかは想像できないけれど。

「子供の頃、江戸時代生まれの爺っちゃまによく言われたよ。何事も途中で投げ出してはいかん、結果はどうでもいい、最後までやり遂げろ、とね。今にして思うと、あれは人生そのものについて言っていたような気がするんだ。わしらは最期まで生きるために生まれてきたんじゃないのかな。いつ往生するかは、神様が決めてくれる。そこまでわしらが責任を負う必要はないんだ。難しいことなんか考えず、ただ、この世に居ればいいんじゃないのかな」(p542)

人生はマラソン。
ゴールにたどり着く前に自分でコースから外れてしまうのは、もったいない。
まだ走ることができるのだから、歩いても給水してもいい、止まってもいい、けれどコースから外れないこと。

エンターテインメント小説でありながら、とても読みやすく、面白く、考えさせられた一冊でした。

高野和明 『幽霊人命救助隊



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