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■ オレオ
アメリカに住んでいたころの話。
裏庭でときどき見かける猫がいた。ある日声をかけてみると、うれしそうに寄ってきてごろんとひっくり返った。首輪にネームプレートがつけてあったので見てみると、Oreoと書いてある。白黒の猫なので、あのビスケットのオレオからとったのね〜と納得。 どうもうちの裏庭が散歩コースに入っているらしい。雪の日に足跡をたどってみると、となりの裏庭から出てきてうちの裏庭を通り、反対どなりの裏庭に入って向こう側の通りへ出ていた。反対どなりの家には、いつも庭に出しているわけじゃないけど大きな犬が二匹いるのに、大丈夫だったのかしら。
ある日のこと、窓のあたりになにか気配を感じたので見てみると、なんとオレオの顔がにゅ〜っと現れた。その窓は、猫が後足で立って手をのばしてやっと届くぐらいの高さにある。オレオは窓枠に手をかけて、懸垂のように腕の力だけであがってきたのだ。それまでも家に入りたそうにはしていたけど、万が一病気を持っていたらと思うと、にょらに接触させたくなかったので、中に入れたことはなかった。でも顔だけ出した状態でかたまっている姿があまりにかわいく、そしてそんなにうちに興味があるのかと思い、玄関をあけてやることにした。 ウーウーうなって警戒しているにょらには目もくれず、まるで自分の家に帰ってきたような態度でずんずん奥へと入っていく。そしてダイニングテーブルの下ですっかりくつろいでしまった。 こんな調子できっと別宅が何軒もあるにちがいない。好きなだけいさせてやりたかったけど、にょらがあんまりフレンドリーではないので、それ以来、外だけのおつきあいにさせてもらった。
毎日外で会うのを楽しみにしていたのに、あるときからぱったりとこなくなってしまった。もしかしたら病気なのかも……と気になりながらも、そのうちわたしたちが帰国することになり、とうとうオレオには会えずじまいだった。どうしてるだろうか。
2002年02月01日(金)
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