あの出来事から一年が経った。政治にも歴史にも社会情勢にも疎い私は、一年前のこの日について語るべき言葉を持たない。 それでも、巨大なビルに吸い込まれていく航空機の映像は目に焼き付いている。 何故、攻撃するのか。戦いが始まるのか。いくら巨大な戦争でも突き詰めていけば結局始まりは個人の妄執に過ぎないのではないか。 隣人を愛せよ、という漠然とした教えは心掛けるにはあまりに曖昧すぎるのか。
他人の人生に関与するには良くも悪くも莫大なエネルギーがいる。そして責任が伴う。何人たりとも、他人の人生を勝手に終わらせる事は許されない、思い上がった行為だと思う。
殺されたくないから殺さない、というのは幼稚に過ぎるだろうか。私はそうまでするエネルギーが恐ろしい。殺さないまでも、他人の人生にずかずかと入り込む行為が恐ろしい。
何も持たない私が出来る事は、まず隣人を愛する事なのかもしれない。愛さないまでもまずは憎まない事、無闇に負のエネルギーを溜め込まない事。 夫を愛する事も憎まずにいる事も難しいのに私にできるのだろうか。不謹慎だな。
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