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2002年11月19日(火) 祥子の正体・・・

こんばんわ。ゆみなです。
昨日のあゆの日記はいみじくも今の私たちの3人の心境を言い得てましたね。

「最初に書いた人は崩しきれない」

ええ。確かにそうです。
3人で書いてるとはいえ初回担当の者は意外とその作品に並々ならぬ思い入れがあるものです。
第一回目ですからね、ある程度の世界観みたいなものはあるわけですよ。

たとえば、第一弾の『果てなき夢のために』
これは私が最初に書いたんですがね、
この時の私として心のどこかに
「夢」とか「希望」とか。
いやもっともっと壮大に「人生とは」みたいなサクセスストーリーもんにしようと考えてたわけなんですよ。
それがですよ。
鬼馬二は出ーの。
えっとそれと自分で名前を決めておきながらすっかり忘れてしまったけど、
なんだかわけの分からないロシア人出ーの。
第二回を読んだ時点で私はサクセスストーリーは遥か夢の彼方に行っちまったっつーことを悟りましたがね。

んで、次がるるの『媚薬』
るるが言ってたんですがね、
るるの中の世界観は女性向の恋愛小説、あるいは官能的なものにしてみるか。
だったようなんですがね、
それがですよ。
なんなんなの?あの登場人物の多さ。
出しゃいってもんじゃないでしょ。書きゃいんってもんじゃないでしょ。
しかも一銭ってなに?一銭って。

ええ。ここまで読んでお分かりでしょう。
あゆです。
あゆが全部私たちの小説に抱いてた世界観をことごとく破壊してくれました。
あゆ。ありがとな。

それがですよ。
いざ自分のとなったら、大事に大事にに暖めていこうなんぞ
100年早い。

が、しかし。
私もるるもほら、あゆみたいな突飛な才能がないものだからどうしても爆発しきれないのですよ。
どこかで理性が働いてるって言うんですか?
あゆのように本能のままに書けないのよねえ。

ああ。あゆ。
自分の作品なんて思っちゃいけない。
いつもどおりに書いてくださいまし。

ってことで第八回。
ゴールまでもうすぐだ。
頑張れ!みなさん。耐えるんだっ!




◆◇◆◇◆◇◆

『誘われて長万部』 第八回


「私はね・・・」

祥子はムクッとその巨体を起こしながら続けた。



「私はね、怠け者なの。」

いや、その、だから、そういう意味じゃなく・・

和樹は祥子の返答ひとつひとつにむかっ腹が立って仕方がなかった。

「時々は慌て者にもなるし、昨日なんかは漬物にもなったわ。
和樹が望むなら”縁は異なもの味なもの”になってもいいわ。」」

なんだよ。それ。

和樹の我慢も頂点に達した。
いや、さっきから達してはいたのだが祥子がなかなか死ななかっただけだ。

半端な殺し方じゃこいつは絶対に死なない。
ゾンビのようなヤツだ。

そして和樹はとうとう秘策を持ち出した。

「祥子。俺、考え直したよ。やっぱりおまえと一緒に生きていこうと思う。」

「ほんとっ?嬉しいっ!!」

祥子の巨体が和樹の上に覆いかぶさり和樹の唇を奪った。
奪ったきり返しに来ない。
和樹は一瞬食われそうな恐怖を感じたが、

これでいい。
しばらくは祥子を油断させよう。

それから数ヶ月。

和樹は人も羨むほどの仲のいいカップルを演じ続けた。
近所の人も店の客も皆、和樹と祥子のおしどり夫婦ぶりを疑う者は誰一人としていない。

和樹の計画は着々と進行している。
あとはチャンスが来るのを待つだけだ。

そしてそのチャンスは意外と早く訪れた。

朝、郵便ポストを開けた祥子が手にしていたのは”長万部からの招待状”だった。

『祥子様。

このたび貴方は名誉ある長万部市の優良肥満人に輝きました。
つきましては下記の日時・会場におきまして授賞式を行います。
是非ともご夫妻おそろいでご出席賜りますようご連絡申し上げます』

和樹はこれこそが自分が思い描いていた絶好のチャンスだと感じた。
これを逃したら俺は一生祥子からは逃れられない。

「祥子。二人で行こう。長万部に帰ろう。」


そして授賞式の前日。
二人は長万部行きのチケットを手に羽田に向かった。

祥子はこれから始まるであろう自分の晴れの舞台を思い描きながら。
そして和樹はこれから始まるであろう最後の計画の成功を祈りながら・・・


〜つづく








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