押されるままに動かされてやがて いつしか止まるしんと静まっている
意識のない間密かに覚めているもうひとり
匂いを取り込むからだのなかへしっとり濡れた
誰かが手を離した風船が空高く上っていった鳩が屋根の上見下ろしている音の渦
普段どおり特別なことはない陽射しもあたたかい
何も違えなかった日は暮れていった真っ直ぐ帰る舗道に映る影
辿りつかなくても通り過ぎるそれぞれの場所へと茫々とした道筋