恋文
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さっきまで 鳴いていたのは せみ
いま 鈴虫が 鳴いている
夜になる
波を分けてゆくような 音を聞く
山裾の この街に
雨が 運んでくる
もう 秋の 声になる
窓を 開けたまま
雲に すっかり 隠れてしまった
山並みから 風を受け取る 雨の街
ゆらゆら 水のなかの ひかり
時間から 離れてしまっている
ゆらゆら 水面に浮かぶ さるすべりの花
蜂が行き来する 陽射しのなか
全部の わたしのために
歪め 撓め
切り 削り
まっすぐ ではないけれど
わたし
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