恋文
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あの池の前の 灰色の冬の日も
あの雑踏の暗がりの 雨の夏の日も
全部 そのまま
あなたと 抱き合っていたとき
雨は わたしと おなじ 温度で 降る
濡れていても いい
地面にも ひたひた
おなじように しみこんでいる
髪を解くと まだ ほのかに 残っていた
朝 まとった マグノリアの香り
あなたと分かち合った 同じかおり
いつになっても いったりきたり
まるで檻の中の 動物みたい
じっとしたままでは いられない
そうして なんとか バランスをとっている
むすぼれた いくつも とけないものが
そのまま からだに はいってしまったのだろうか
ときどき ためらっているみたい
たどってゆくと いくつも 欠けている 過去
たぐり寄せるうちに こんがらかってしまう 未来
そのあいだを かろうじて つないでいる 今
雲の切れ目から 朝焼けの空が のぞいていた
川は 灰色に流れて 橋には クリスマスの飾りが 光って 揺れていた
一日が始まる まだ 寡黙なままに
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