恋文
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影が 重なりあって
薄い影 濃い影も
ひたひた 歩く足元に 踏んでゆく
ときおり 通り過ぎてゆく ヘッドライトが
消してしまう
波のように
ひんやり 雨の匂いがする
暗い小道に 散った赤い実
線路のあいだの みどり
街灯の下で 硬くひかって
木々の葉は その中から ひかりを発しているみたい
ひかりを 分け与えたように もうすぐ 日が沈む
靄が 川面を おおいかくして
橋を わたってゆく
ここではない ところに ゆくみたい
まちも 白く ぼんやりとしている
この道を いくども通ったのだ と 思いながら
そのたびに 見知らぬ 道のように 姿をあらわす
かたわらを まるで誰も乗っていないような 窓を白く輝かせて トラムが 過ぎてゆく
もう これで 終わっていいのなら
覚めなくても いい
夢うつつ
流れが ゆっくりで 川の底まで 見える
鴨が 休んでいる
木の葉を 透かしている ひかりを 見上げて
まだ歩いている
オレンジ色の 蝶々が 飛び立った
まだ みどりの小道
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