恋文
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幾たびの 雨の日を 思い出す
草も 木も 家も
みんな濡れて それで じっと 立っていた
わたしも 立っていよう
地面も 空も 湿っていて
雲のなかを ふわふわ 漂っているみたい
一日の終わりの 帰り道
いちにち また いちにちが 過ぎてゆく
待つ日々でもあり 越えなければならない日々でもある
そうして 季節が また 移ろうとする
ゆく方が見えないと 戦き 立ち止まり
見えるものしか 見えないのだと
進めば いずれ 行く先も 見えてくるだろう
前を見てみる
光は 木の影を 壁に 映しだして
いつか見たような 風景なのに
記憶の奥底を さぐっているあいだに
迷子になる
蔦が すっかり 赤くなって
夕日が 木立を 影にする
手のひらを 透かしていた
その頃にも ふと 冷たい風が 吹いていた
わたしに なるだろう
だれの ためでもなく
だれかの ためなどといえば そんな 不遜なことはない
わたしでいるために
わたしに なろう
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