恋文
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わたしの
始まりの はじまりは
なんだったのだろう
みんな 違うというけれど
わたしは
草でも 石でも よかった
ジブラルタルの水夫 という 小説を読んでいて 思い出した
ジブラルタルは スペインに あって イギリスである
いつか 国境の長い行列を待つのに 倦んでしまって 帰ってきてしまったのだ
まだ 見ていない ジブラルタルを
また 見てみたいと思う
ふいに 置き去りにされてしまったみたいな 気がした
暖かい 日差しのなかに 鳩が降りてくる
一瞬の翳りのなか
夏の日差しは まざまざと 変容など できないのだと 告げるのだが
肩から 落ちて ひかりに 透けている 髪をみていると
まだ 変ってしまいたいと 思う
ピアノのおとが 響いてくる
風が ひんやりと 通る
部屋は 暗くして
洩れてくる光を ぼんやり 見ている
とつぜんの 雨は 音もなく やってきて
まるで 音の洪水のように 降っている
いつか 止んでいるのか わからない
まだ 降っているのだろうか
窓をあけて 水の 匂いがする
誰も 思わなかったかも しれない
だから 知っていていい
なにも 知らないことを
知らないままに していよう
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