恋文
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わたしが わたしであるという それだけの ことなのに
わたしではない だれかの 眼を とおして いるのね
髪を 後ろに くくり持って
くわえた クリップ
見ている わたし自身
どこにも なくなってしまった 恋文の 宛て先
なにに 恋をしているのだろう
まだ 恋をしていたい わたし
窓が 雨にたたかれるたびに 揺れる木を 見ている
花弁が 吹き寄せられて 小道が 白くなる
声を あげてみると どこかに 失っていった
髪を 梳く
指先に うつる
かおりを そのまま
ひと房 とって
うでや あし
むね おなか
うつして ゆく ゆびさき
まんまえにいる わたしの からだ
一群の雲が 飛行船のように 進んでいる
午後の光を 残して 青空がみえる
地面は 黒く 濡れている
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