恋文
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あのとき 見ることの なかった 海は
もう どこにも ない
思い浮かべる こんど 見るであろう 海
わたしが いなかった 夏のように
あるいは
わたしが いた 夏のように
それから
わたしが いる 夏として
わたしが いないと おもう
目を とじて なにも 見ない
だからと いって わたしが 見えないわけでは ないのに
ぱたん と 閉じる
鳥たちの さえずりが 聞こえる
ぱたん と やっぱり 閉じる
なにも 聞こえないように
花の かおりは どこにゆく
みどりは 濡れたまま
けむる 雨のなか
いやなんだ
だって いやなんだもん
もう 知らない
明るいひざしのなか 見なれた風景が いつか知らないように 見える
いつもの道を いつものように 歩きながら きっと行き先が ないような 気持になる
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