恋文
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少しだけ 自分であればいい
なんにもないなんて ない
わたしを抱く わたし
そうでありたくて なれなかった わたし
近づいて 遠ざかる
ぽつんと 佇んでいる わたし
なんにも のこっていない わたし
どこにも 行きつかないように なってしまいそうで
身をよじる わたしは ここには いない
息をする 胸が上下する
胸から腰へと 手をすべらして
あぁ まだ ここにいる わたし
月は 冴え冴えと白い
枝が 影絵のように伸びる
朝には 地面は凍っているだろう
石畳を歩く 音が響いている
いらないわたしを くしゃくしゃに まるめて 抛ってしまおうか
そうしたら なんにもなくなって わたしは どこに行ってしまおうか
思い出に帰ろうかしら
まだ暗い朝に 黒く沈む木々も
ようやく明けてきた 群青色の町の風景も
わたしも その一部になって
オレンジの街灯の中に 佇んでいる
あなたが見る その窓の外に 冬がきて わたしも その一部になろう
あなたが読む その物語を たどって わたしも その中にはいろう
約束の日には ふたりで一緒に いようね
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