恋文
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風がわたって 川面の緑の影が揺れる 小魚が からだを返す 鴨が 水面を過ぎる
岸辺を被う木々の向こうから 子供たちの声が 聞こえてくる 葉擦れの音が ずっとついてくる 船べりに 波が小さく砕ける
からっぽになってゆく わたしが 嬉しかった
朝は 雨だったよ ほんのりと 明るかった
ベッドの上で ぼんやりとしていた
からだなんて いらないと 思った
綿毛みたいに 飛んでいけたらいいな
空の下を歩く 玉蜀黍は 真っ直ぐ伸びている 麦は刈られてしまった
林檎の実が 小さく生っている 馬は草を食む
雨の後の落ち葉は もう ふんわりと乾いている
一人歩く 汗ばんだ わたしの 匂いが 風に過ぎた
目覚めの時には 一人で丸まっているのが 好きだ
不思議な夢や こわい夢 懐かしい夢や 悲しい夢
まだ 覚めない からだの その動きを じっと確かめる
いつのまにか 雨になった
音もなく 草は濡れそぼっていた
灯りをつけない部屋のなかで あなたは うたた寝をしている
その後ろ姿を 見ている
空を 少しづつ 切りとって ひこうき雲が伸びる
青い空に滲むように 残っている雲を 横切って 伸びてゆく
きっと 打ち上げられてしまうのか ずっと 流されてしまうのか
まだ ぼんやりと 浮かんでいる
波が わたしを運ぶなら 揺られていようか
ばたばたと あがいてみたり してみようか
きらきらと 波は 輝いているんだろうな
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