恋文
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わたしたちは お互いに 触れないのに 同じように 感じる
血の繋がりはないのに 性のつながりはないのに ましてや 会うこともないかもしれない
細い その根っこから わたしたちが 一緒だったら 嬉しい
突然に 雨は降るよね 風は吹くよね
いつか ふっつりと あなたはいなくなる わたしもいなくなる
風がもぎ取って 雨が叩いた 葉っぱも 枝も 横たわっている
もう 湿った 穏やかな風が 冷んやりと 吹いている
もう とうに失われていた 思い出しても 戻ることはないはずの そこにあった わたし
でも もっともっと 遡ってしまおうか いつか わたしに たどりつくまで
雨の匂い 好きだった 草が濡れて 草の匂い
あなたの匂い とか わたしの
抱き合っているときに 感じていた 柔からで 暖かい 匂い
いつかしら 眩しかった 光が消えていた まだ 空は明るいのに 雲に覆われてしまっている
遠くから 話し声や 車の過ぎる音が 聞こえる 教会の鐘の音が 鳴っている
水だけがはいったガラスの花瓶に 水蘚のついた 小さな鉢が 沈んでいる
主は いま いない
夜の色 朝の色 移り変わるなかに あなたは眠っているのだろうから
ここから 見送ろう
明日 きっと いい夢とともに 目覚めたらいい
いつか 音が聞こえたので 目を向けると 雨が降っていたのだった
空には光が残って 明るい芝生に 降り注いでいる
鳥の声もない ただ 雨の音が 聞こえる
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