恋文
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漂ってる 綿毛は そのまま 和毛だったから 動物の仔を想った
たとえ丸裸のように見えた人間の子も やっぱり あえかな和毛に包まれて 子は子だった
それが 植物でも 動物でも みんな 子は 慈しみを受けたいと やわらかに やわらかに 装うのだ
最初は ほんの些細な病だったのだろう 気付かないうちに いつか どこかしら いつも熱をはらむようになったのだった
なにかが 順々にずれていってしまうように もう何が原因だったかも 判らないほどに 戻すことができなくなった
暗くなりかかった小道を 通りすぎる 空は深い青色をしていて それは闇の色なのだけれど 怖くはなかった もう少し ゆっくり歩いてみようか
手を離すと 漂っていってしまった わたしのわたし
波の間なのか 雲の間なのか
いつも冷たいような いつも寂しいような
ふわふわ漂っていると 夢でもなんでもいいみたい
あ もう覚めなくてもいいや なんだか このほうが 心地いい
ん ふんわりしていたい ずっと
繋ぎとめようとしても もう仕方がないほどに ばらならになっていたとしても
まだあがくように 纏まろうとするのは ただ過去を引き延ばしたいからだろうか
まだ だめだ まだ手放すわけにはいかない
まだわたしたちみんなが それぞれ一人で生きてゆけなければ まだあきらめるわけにはいかない
餓鬼というように 飢えているので ただただ欲しいのだった
あなたのもの みんな わたしにくださいな
とっても とっても まだ足りないの
満たされない餓鬼は きょうも ひもじい
こんなにも雨も柔らかい 春には
傘がなくてもいい
からだに沁みてくるのは 冷たさだけではなくて
自然が春になるように 雨も春のなかにあって
わたしも 春のなかにいたい
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