恋文
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緑は雨に濡れて 菜の花も雨に濡れて まだ剥き出しの土も濡れている
遠くの森からは 吐息のように 白く靄が立ち上る
わたしも 生きている と 思える
あなたが知っている わたし わたしが知っている わたし
わたしが知らせる わたし あなたが知る わたし
わたしが知らせない わたし あなたが知らない わたし
それが みんなわたしなのだけれど わたしは わたしを知らない
なんだ、昔に戻ろうとしてたのか
この想念は ずっと昔に思っていたことだった
淡い人になりたいと思った 青年の頃
まだ、そのまま わたしの中に残っていた 今も
思わず口をついてでてしまった そのことばは すぐに帰ってきてしまった
そのことばは 解けない気持ちを生みつづけて 胸が詰まってしまうのだった
そのことばが消えてしまうまで 酔ってしまおうか
夜に近づいて 草の匂いと 水の匂いがする
鳥の影が空を横切って どこからともなく囀りが聞こえる
少し冷えてゆく この空気のなかに わたしを委ねている
誰もかれも 好きになれたらいい
やだな わたし ばらばらになってる
わたしには前を向く顔と 後ろを向く顔があるのです
身体はわたしを裏切るし 心もわたしを捨てて行ってしまう
わたしは いったい 誰かしら
なんにも知らないふりして 目を閉じて 耳を塞いで
いつか また わたしになろう
まっすぐに歩いたらいいの 静かにね 気をつけてね ゆっくりね
でも ぐらりと揺れる 落ちてもいいと思った
ふわりと宙に浮いている そのまま 他の世界に行ってしまえ
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