恋文
DiaryINDEX|past|will
わたしは わたしが好きだから こんな くるくるの髪も好き
胸にかかる くるくるのはしっこ 背中に落ちる くるくるのはしっこ みんなわたしを撫ぜてくれるね
指ですくったり からめたり 梳いてみたり わたしを愛撫してあげたいの
だって わたしを嫌いになりたくないから
ふと 触れるものを 感じていよう
きっと それがわたしのものなんだ
なにかが 触れてくれる そのとき 感応する
そのわたしが好きだとおもう
風が運んでくる ほのかな花の香り
半欠けの月は 寒そうに輝いている
このまま連れて帰ろう 花の香りも 月の輝きも
目の前に映る わたしの髪の先は ゆるやかにたわんでいて 光を透かしている
ふわふわと 髪をいじっている しあわせ
くるんと まるまった 毛先は やさしい
一日の終わりに やっと わたしに なれた
言葉にする度に それは 離れていってしまうので 沈黙するのだけれど
沈黙の底にも 澱のように ざらざらとした感触が 堆積している
明るい夕暮れに おまえは あるがままにいるね
とっとと歩いては 尾羽の はたはたと震える 柔らかな草の間に なにかを見つけたのだろう 小首を傾げては 草の中に啄ばんでいる
おまえの一日が暮れようとしているよ 暗くなる前に 帰りなさい まだ 春の日は長くはないのだから
耳の奥に鳴るように それとなく響いていた しんしんと
街灯の白い光は 公園の雑草を 作り物のように見せて 飛び交う虫たちの群れを 影絵のように映し出していた
放り出されたサンダルを拾いに 背中に負うあなたの重み その温もり
夜の呼吸のように わたしたちを包んでいた
|